この惨めな状況に、菅首相本人も、小沢起訴による興奮が冷めつつある中、さすがに現実に気付き始めたのだろうか。ここに来て、首相は頻繁に官邸内で怒鳴り散らすようになっているという。
首相官邸スタッフの一人がこう語る。
「このところますます、"イラ菅"の爆発が増えています。『オレの考えが、ちゃんと国民に伝わっていない。政府広報を工夫しろ!』と、秘書官や補佐官を呼びつけ怒鳴りつけている。『新聞はダメだ。あいつらは自分たちに都合のいいところだけ切り取って報道するから。テレビがいい。もっとテレビ出演を増やせないか検討しろ』『官邸からテレビ会見をするのがいい』とも言っていますね」
うだつの上がらない首相の様子を心配し、民主党の女性議員の有志は、「菅さんに、赤やオレンジとか、もっと明るい色のネクタイをするよう働きかけよう」という運動まで起こしている。ところがなぜか、「首相本人が、まったく耳を貸してくれないのです」(民主党女性代議士)というから、もはやファッションのことなど気にしていられないほど、精神的に切羽詰まっている様子が窺える。
焦る菅首相のイライラは、どうにも止まらない。
「S&P(スタンダード&プアーズ)社によって日本国債が格下げされた際、『そうしたことに疎い』と発言して大問題になった時も、後で財務省出身の羽深成樹秘書官を呼んで『なんで事前に知らせなかったんだ!』と当たり散らしていました。周囲は『単に、首相の日本語能力の問題だろう』と、呆れ果てていましたけど」(官邸関係者)
「私兵集め」を始めた仙谷
ちなみに、先月に改造内閣を発足させた直後だけ、首相は元気だったという。何しろ、自分を差し置いて官邸の主に納まっていた仙谷氏を更迭し、煙たい存在がいなくなったからだ。
「官邸内には、一時的に"春"が来ました。何しろ、それまでは首相も含めてみんなが、仙谷さんの意向を気にしていつもピリピリしている感じでしたから。その重しが取れた気分で、首相も『やっとオレ自身の政府だ。ここからが勝負だ』と奮起していたんです」(別の官邸スタッフ)
しかし、やっぱり菅首相には無理だった。通常国会が始まるや否や、首相は年金制度一元化の断念、子ども手当の満額支給断念など、民主党マニフェストの根幹を覆す発言を連発し、国民を失望させた。
小沢氏が失脚し、菅首相が自滅していく中、名実ともに民主党政権の最高権力者となりつつあるのは、仙谷代表代行である。
菅首相をけしかけ、小沢殺しに走らせた仙谷氏は、強制起訴が行われた直後、記者団から感想を求められてもニヤニヤしながら、
「知・り・ましぇ~ん!」
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