07年度から海外の学生を積極的に受け入れる学際・融合科学研究科博士課程を設けた。講義はすべて英語で行う。ノーベル賞受賞者2人を含む40人以上の海外の科学者が客員研究員を務め、がん治療などの新技術を開発している。「当校は国内で理工系の知名度が低いので最初は研究予算獲得で苦労した。しかし海外から研究成果を認められるようになり、欧州の有名な研究資金であるマリー・キュリー・アクションも受けられる見込みになっている」とセンター長の前川透教授は胸をはる。
独立行政法人の物質・材料研究機構(茨城県つくば市)では、全職員約1450人のうち5分の1の約300人を外国人が占める。同時に海外からの留学生受け入れも積極的に進めている。
同機構は国内3大学と連係し、学位取得まで面倒をみる「連係大学院」制度に取り組む。これとは別に国内外39大学とも共同で大学院生を指導する。両方の試みとも大学院生はここ3年みても急増しており、現在は計143人が所属する。そのうち約7割の99人が留学生だ。
「外国人が日常生活に困らないよう日本人事務職員も普通に英語を話せる国際化を進めている。学生には最先端の研究を経験させ学位取得後も国際的に活躍できるように指導している」と板東義雄フェローは言う。同機構が国際化を進めることは、日本を活気づけることにつながると期待している。
では日本人学生はどう育てるのか。科学技術振興機構の北澤宏一理事長は「優秀な学生は海外に放り出して国際感覚を身につけさせるべきだ」と話す。留学生頼みにせず、武者修行が必要と説く。
未来永劫(えいごう)、日本や米国だけが科学技術大国であり続けるわけではない。今後、日本は国内で増え続ける留学生との人脈を生かす一方、米国に倣うこれまでの研究留学とは違う発想での海外武者修行が求められそうだ。国内外を結ぶ研究ネットワークが構築できれば、それは日本の成長を後押ししてくれる。
(科学技術部 黒川卓)
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