日本で理工系大学の取材を続けていると、10年ほど前から外国人の大学院生や博士研究員(ポスドク)が目立って多くなってきた。産業競争力に当てはめるのはやや乱暴かもしれないが、日本の活力低下や、韓国や中国、台湾、インドなどの躍進と一致しているようにもみえる。
「日本の工学系の学生の多くは修士課程まではいく。しかし優秀な学生はその先の博士課程まで進まなくなった。結果として優秀な博士が出てこないことになる」。新しい超電導材料など様々な新素材を次々開発する東京工業大学の細野秀雄教授は嘆く。
細野研究室にも現在、博士課程6人の中に韓国からの留学生が2人いる。留学生は今後も増える一方だと細野教授はみている。
博士課程の留学生が増えると同時に、日本の大学で生まれた材料や技術も日本企業より外国企業が先に目を付ける動きが出てきた。
細野教授らが発見した透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)と呼ぶ大型ディスプレーに利用できる新素材は、韓国企業が最初に製品に使おうとしている。「2004年に英科学誌ネイチャーに発表したとき、すぐに問い合わせしてきたのはサムスン電子とLG電子だった」(細野教授)。このような状況に細野教授は日本の将来に不安を抱く。
「うちはもう外国みたいだよ」。東北大学の川添良幸教授は研究室の廊下に張った顔写真入りのメンバー表を前に話す。理論物理学の知識を使いスーパーコンピューターによる模擬実験(シミュレーション)で新素材の設計などを手がける川添教授は世界から注目されている。
その結果、いつの間にか外国人の大学院生やポスドクの方が日本人より多くなった。大学院生8人のうち日本人は1人だけだ。高度化する「ものづくり」にはスパコンの利用が欠かせなくなってきた。ともすればスパコンの計算速度が世界1位か2位かということだけがクローズアップされがちだが、肝心の計算ができる有能な人材の数は日本が世界で何位なのだろうか。
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