2010年12月16日 11時12分 更新:12月16日 11時44分
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、日本原子力研究開発機構は16日、全ての試験を終えて本格運転に入る時期を、12年度末から13年度内に延期する、と発表した。関係者によると「半年以上遅れる」という。原子炉容器内に誤って落とした炉内中継装置(3.3トン)が変形し抜けなくなっているトラブルへの対応のためで、装置の撤去準備作業は来月始める。
1995年のナトリウム漏れ事故当時と同じ出力40%にする次段階の試験開始は来年7月以降としていたが、12年に延期。12年夏ごろとしていた出力100%の最終試験も、13年にずれ込む。
もんじゅは3段階に分けて出力を上げる性能試験を約3年間行う計画で、今年5月の運転再開時には、13年3月の本格運転を目指していた。しかし今年8月に炉内中継装置の落下トラブルが起き、原子力機構は、装置が引っかかっている原子炉容器のふたの一部を取り外す大規模な工事を行うことを既に決めている。
この日、福井県の西川一誠知事が高木義明文部科学相、大畠章宏経済産業相と東京都内で協議し、延期について合意した。また、高木文科相は、装置落下問題に対応する調査チームを原子力機構に置き、有識者による審議内容を復旧作業に反映させることを明らかにした。【酒造唯、安藤大介】