2010年12月16日 19時4分 更新:12月16日 23時57分
【ワシントン草野和彦】米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)の批准に向けた審議開始について、米上院は15日、賛成66、反対32で決定した。オバマ大統領が目指す「年内批准」の可能性が出てきた。しかし、「審議時間が足りない」と共和党は抵抗し、会期末を控え、ぎりぎりの攻防が続いている。
批准には上院(定数100)で67人の賛成が必要。現在は民主58(無所属2人を含む)、共和42で、採決では共和議員9人が賛成した。採決を欠席した民主議員の1人は批准は承認する意向で、批准への必要数に達したかに見える。だが、米紙ニューヨーク・タイムズは、審議開始に賛成した議員が批准承認を確約したわけではないと報道。また、条約支持の意思は示しながらも、年内の駆け込み的な採決をけん制する共和議員もいるため、情勢は混とんとしている。
オバマ政権は4月の条約調印以降、計18回の上院公聴会で1000近くの質問に答えてきたと主張。批准を急ぐのは、来年1月からの新会期は中間選挙結果から民主53、共和47となり、批准が一層困難になるからだ。ゴッテモーラー国務次官補は、新会期にもつれ込んだ場合の批准の遅れは「(最長で)18カ月間」との危機感を示した。