2010年12月16日 13時23分 更新:12月16日 13時38分
議員1人当たりの有権者数を比較した「1票の格差」が最大5.00倍だった7月の参院選の定数配分について、神奈川県内の女性が「法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、神奈川選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、東京高裁(前田順司裁判長)は16日、格差を「違憲状態」と判断しつつ、選挙自体は有効として請求を棄却した。
今夏の参院選については、この訴訟とは別に、複数の弁護士グループが全国8高裁6高裁支部に同様の訴訟を起こしている。東京高裁の南敏文裁判長は11月に「不平等状態が十数年継続しており、国会の裁量権の限界を超えている」と違憲判断を示しつつ、「無効にすると公益に著しい障害がある」として請求は棄却。一方、同高裁の岡久幸治裁判長は合憲と結論付けた。
また、広島高裁は今月、投票価値の不平等を「違憲状態」と認めつつ、是正に向けた国会の動きを考慮して選挙を有効とする判決を言い渡した。各高裁の判断が分かれており、最高裁が統一判断を示すことになる。
5.00倍の格差は、議員1人当たりの当日有権者数が最多の神奈川選挙区と最少の鳥取選挙区の間で生じた。選挙無効訴訟は、公職選挙法の規定で高裁が1審となる。
最高裁は最大格差が6.59倍だった92年参院選を違憲状態としたほかは合憲判断を示している。4.86倍の07年選挙を合憲とした09年9月の判決で「格差の大幅縮小のためには選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘した。【和田武士】