国連安保理:イラク制裁19年ぶりに解除

2010年12月16日 11時9分 更新:12月16日 20時13分

 【ニューヨーク山科武司】国連安全保障理事会は15日、イラクに科していた核兵器・生物兵器・化学兵器を含む大量破壊兵器の製造とその原料の輸入禁止や民生用原子力技術の獲得禁止、石油収入の国際管理など主要な制裁を解除する決議を採択した。制裁解除は、フセイン政権下の湾岸戦争停戦時に制裁が決議された1991年以来、19年ぶりとなる。

 これにより、平和目的に限定された原子力や大量破壊兵器の開発などが可能となる一方、イラク復興のための開発基金は来年6月末に廃止される。原油輸出収益を国際管理してきた同基金の廃止で、石油収入の管理がイラク側に戻る。

 石油収入の5%をクウェートへの賠償に回すよう命じた決議などは残るが、国連制裁の大半は終了することで、03年に始まったイラク戦争後の主権回復が大きく前進する。

 この日の安保理を開催した議長国・米国のバイデン副大統領は「今日は、イラクが国際社会で義務を果たした日として記憶される。発足当初からの加盟国としてイラクは、国際社会で正当な役割を果たしていく」と指摘。イラク戦争開始の理由だった大量破壊兵器が見つからなかったことへの批判をかわし、戦争の正当性とその後の復興を強調したものとみられる。

 また、イラクのジバリ外相も採択前、「これでフセインの暗黒の時代が幕を下ろした。イラクにとっては最大の政治的成果だ」と自賛した。

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