2010年12月16日 10時55分 更新:12月16日 11時8分
店舗が市道を不法占拠しているとして大阪市が撤去命令を出していた大阪・道頓堀の人気たこ焼き店「大たこ」が16日未明、店舗を自主撤去した。台車の付いた店舗を車でけん引して移動させ、72年の開業以来初めてこの場所から撤退した。市は行政代執行による強制撤去を16日に実施すると予告しており、直前に大たこ側が折れる形になった。
林美樹店長(34)によると強制撤去に伴うトラブルや、市からの多額の費用請求(見積額120万円)を避けるため、自主撤去を決めたという。林店長は「あの場所で商売したい。話し合いを求め、市と戦っていかざるを得ない」と話した。
一方、市は同日午前6時45分ごろから、再び不法占拠させないよう店舗跡地にプランター6個とポール8本を設置。黄色や青や白のパンジーを植えた。担当者は「(自主撤去は)我々の指導が通ったということ。今後も巡回を続ける」と語った。近くでバーを経営する男性(34)は「消えたのは寂しい。40年近くも営業させて放っておいたのは市の怠慢でないか」と語った。
大たこは開業以来、市有地約4平方メートルを占有。今年7月に最高裁で立ち退き命令が確定したが、11月下旬に数十センチ先の市道上に店舗を移動し、営業を続けていた。【平川哲也、安藤龍朗、小林慎】