アレフ信者殺害:逮捕の元夫、事件前に施設の娘案じる手記

2010年12月16日 2時35分

西村被告が新たに書き加えていた手記。奥の著書は07年に出版した
西村被告が新たに書き加えていた手記。奥の著書は07年に出版した

 埼玉県八潮市で11月、オウム真理教主流派で構成する宗教団体「アレフ」信者の女性が殺害された事件で、逮捕された元夫で住居不定、元食品販売会社社長、西村三郎容疑者(70)がアレフ施設に居住する2人の娘の身を案じて「何としてでも解決しなければ」などとする手記を事件前に記していたことが分かった。さいたま地検は15日、西村容疑者を九十九(つくも)美智子さん(当時63歳)に対する殺人罪などでさいたま地裁に起訴した。

 手記はパソコンで作成したとみられ、「孤独な闘戦(たたか)い」との題が書かれた表紙を含め10枚以上。09年8月に大腸がんの摘出手術を受けた経緯に触れ、「私自身この先、何年生きられるか。先の短い親の人生よりも娘達の将来の方が大切」と記述。長女と次女の将来を憂い「どのような行動を起こせば良いのか」と記し、「洗脳され続けている長女達がかわいそうで胸が一杯になってしまいます。何としてでも解決しなければ」と締めくくっている。

 西村被告は07年、手記「引き裂かれた二十年-私と五人の子供たち-『鐘の音』」を出版。87年ごろ入信して家を出た九十九さんや長女、次女らを取り戻すために教団と対決してきた経験をつづっていた。新たな手記を加えて改題し出版を目指していたとみられる。

 起訴状などによると、西村被告は11月24日午前、八潮市のアレフ修行施設から出てきた九十九さんを、約1キロ離れた駐輪場まで追いかけ、胸などを柳刃包丁で刺して殺害したとしている。捜査関係者によると西村被告は逮捕後、「妻を殺害すれば、長女と次女の目が覚めると思った」と供述していたという。

 捜査関係者によると、西村被告は10月下旬、福岡市内の自宅アパートを引き払い、高速バスで首都圏に向かった。その後、ビジネスホテルを転々としたという。八潮市の施設近くに住む男性(80)は事件前の約20日間、施設を監視する西村被告の姿を目撃している。男性は「『あの施設に何人入ってるんですか。人を捜しているんです』と話しかけられた。表情は険しく追い詰められた感じだった」と振り返った。【飼手勇介、反田昌平】

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