2010年12月15日 21時29分
政府税制調査会は15日の全体会合で、地球温暖化対策税(環境税)について、11年10月から3年半かけて段階的に導入することを決めた。これにより、11年度の税制改正に向けた税調の議論はすべて終了。16日午後に菅直人首相に11年度税制改正大綱を答申し、政府が大綱を閣議決定する。
環境税は、輸入原油やガスにかかる石油石炭税について、税収を現行の約4800億円から5割(2400億円)増となるよう、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて増税。主に省エネ対策の財源とする。
引き上げ幅は、原油・石油製品(現行税額は1キロリットル当たり2040円)が760円▽液化天然ガス(LNG)と液化石油ガス(1トン当たり1080円)は780円▽石炭(1トン当たり700円)は670円。増税に伴う公共交通機関への影響を緩和するため、旅客船に利用される重軽油や鉄道用の軽油、国内便の航空機燃料は13年3月まで免税・還付措置を設ける。
税収の使い道については、幅広く使える一般財源化を求める財務省や、一部を地方に回すよう主張する総務省との綱引きがあった。最終的には、来年度は経済産業省と環境省が共管するエネルギー対策特別会計に全額を繰り入れ、地球温暖化対策に充てることで決着した。
来年度は10月からの導入になるため、税収は約380億円。経産省や環境省は、電気自動車の普及促進や太陽光発電の導入支援などの対策強化を図り、CO2排出量削減の一層の促進を目指す。
また、政府税調は環境税に関連し、民主党の衆院選マニフェストで廃止を明記したものの、10年度税制改正で「当分の間維持する」としたガソリン税と軽油引取税の旧暫定税率の取り扱いを論議。2.5兆円に上る税収維持のため、11年度も現在の税率を維持することを決めた。
この日の政府税調では、14日に財務相と金融担当相の間で合意した証券優遇税制の11年末からの2年延長も承認。すべての項目についての取りまとめを終えた。【久田宏】