電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)は二次電池やアルミ電解コンデンサと同様に、電気を充放電する蓄電デバイスとして様々な電気製品に活用されています。近年、新たな用途検討も進んでおり、今後ますます活躍が期待されている電子部品です。
EDLCは、導電性固体と電解液の界面に生じる電気二重層という状態を利用して電気エネルギーを蓄えます。アルミ電解コンデンサをはじめとする一般的なコンデンサは、対向する電極の間に誘電体を挟んだ形で構成されますが、EDLCは誘電体がない点で異なります。EDLCでは電気二重層という状態を、誘電体の機能として利用していることになります。
電極となる導電性固体には、一般的に微細な孔をたくさんあけて表面積を拡大した活性炭を用います。この活性炭電極間に電解液を満たして、イオンが電極表面に吸脱着することだけで充放電を行います。
基本的な構造は、円筒型のアルミ電解コンデンサと同様に、アルミ箔上に活性炭電極を形成した電極箔をセパレータとともに巻回する構造となっています。
以上のようにEDLCは酸化還元反応といった化学変化を利用せず、比表面積が大きい活性炭表面での物理的なイオンの吸着で電気を蓄えています。アルミ電解コンデンサと比較すると容量は大きいのですが、内部抵抗が大きくなるため、リプル吸収用などの交流回路への使用は適当ではありません。このことから、現在では直流回路でのエネルギーバックアップなど2次電池的な使われ方が主体となっています。以下に2次電池と比較したEDLCの特長を示します。
・大電流(急速)充放電が可能
・サイクル寿命が長く数万回以上の充放電が可能
・使用温度範囲が広く、低温でも安定して作動
・爆発、発火の危険性がなく安全性が高い
・構成材料に重金属を含まず環境に優しい
特性データを以下に示します。
電気二重層キャパシタの寿命は使用温度に左右されます。一般的にはアルミ電解コンデンサと同様に10°C2倍則に従い、温度が10°C下がると寿命は約2倍になります。
その推定寿命は次式で概算できます。
使用温度は機器の周囲温度のみではなく、充放電などよる発熱を含めたキャパシタの温度を確認して下さい。
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