政府は28日、11年度の子ども手当法案を衆院に提出した。制度継続には新年度前の3月末までの成立が絶対条件だが、野党の反対は強い。民主党は法案成立の必要性をまとめた文書を作成し、法案が年度内に成立しない場合、事務作業に混乱をきたすなどとして地方自治体や世論に働き掛け、野党の協力を促す戦略を描いている。【山田夢留】
同法案は中学生まで1人月1万3000円の現行支給額を3歳未満に限り月2万円に増額することなどが柱。民主党の目玉政策だが今年度内に子ども手当法案が成立しないと所得制限がある児童手当が復活する仕組みで、民主党政権に対し「看板倒れ」との批判が出る可能性もある。
事態を回避するため、党国会対策委員会が「子ども手当法案を成立させる必要性」との題の文書を作成。法案が成立しない場合▽子ども手当導入で実施された控除廃止の影響で全受給世帯で児童手当当時より実質手取り額が減少▽いったん破棄された所得把握などのシステム整備が間に合わず、6月の児童手当支給もできない可能性が大きい--などと列挙。「問い合わせが殺到し、窓口が混乱するおそれがある」と指摘している。
同党は国会論戦などで世論に訴えるほか、4月に統一地方選を控える地方の首長や議員にも伝えていく方針。「首長や地方議員から早期成立の要望が上がれば、野党も耳を傾けざるを得ない」(党関係者)とみている。
地方自治体側にも懸念する声が上がっており、全国市長会は与野党に今年度内成立に向け協力要請する方針。しかし、民主党が野党だった08年の「ガソリン国会」では、揮発油税の暫定税率維持を求める声が自治体から相次いだにもかかわらず、法案の年度内成立を阻止。今回野党の協力が引き出せるかは未知数だ。
毎日新聞 2011年1月29日 東京朝刊
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