国際【産経抄】2月13日2011.2.13 02:49

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【産経抄】
2月13日

2011.2.13 02:49

 日本などからエジプトに観光に出かけた人が意外に思うことがある。ピラミッドの位置についてだ。遠く離れた砂漠の真ん中にあると想像しがちだが、実際はカイロの市街からナイル川を渡ってすぐの所にも、最大のクフ王のピラミッドなどが立ち並んでいる。

 ▼エジプトの国民、中でもカイロの市民たちは数千年という時空に寄り添って生きてきたのである。世界有数といえる自国の長い歴史と文化に誇りを抱いてきたことも間違いない。世界中の国、特に西欧の人々もまた、その歴史に敬意を示してきた。

 ▼英国の推理作家、アガサ・クリスティは夫が中東専門の考古学者だったことから、何度もエジプトを旅行している。その結果を大作『ナイルに死す』などに著した。砂ぼこりが苦手なはずのポアロにも出向かせており、いかに魅せられたかがわかる。

 ▼そのエジプトに再び世界の耳目を集めた政変劇は二転三転の末、ムバラク大統領の辞任でとりあえずの決着をみた。タハリール広場の市民たちは夜通しで歓喜の声をあげていたという。30年近いその「強権支配」のくびきの厳しさを示しているようだった。

 ▼米国と良好な関係を結び、かつての宿敵、イスラエルとも外交関係を維持した。そのことでアラブ社会の「盟主」の座を不動にした。「古代エジプトの栄光」とまではいかなくとも、この国の国際的地位を高めたことは間違いない。それでも国民は「ノー」を突きつけたのだ。

 ▼この国の長い長い歴史から見れば、30年など「たまゆら」にすぎないかもしれない。だが現代においては、国民が「強権」に耐えうる限界の時間なのだろう。世界の「独裁国」の指導者たちが気付かねばならぬことである。

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