オメガ3系脂肪酸
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オメガ3は特殊な性質を持った高比率の不飽和脂肪酸で、体の炎症的な変化を軽減
し、異常な血液凝固を防ぎ、おそらくは細胞、組織のがん性、消耗性の変化を防ぐ効果
があると考えられています。
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オメガ3は北の冷たい海でとれる脂身の多い魚、イワシ、ニシン、サパ、サケなどに多く
含まれています。また、最近では魚油のカブセル剤としても販売されています。
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オメガ3系脂肪酸が我々の身体にとって必要不可欠なのは、一つには身体の基本の
調節物質の原料であり、いま一つは身体の細胞の細胞膜を構成する要素だからです。
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細胞膜は主としてオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸とオメガ9系脂肪酸で構成されて
いますが、一つ一つの細胞膜における取るに足らないようなそのアンバランスが、細胞
の働きを狂わせ、全身に及ぶ混乱を生み出していくことになるのです。
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それがわかってきたのは最近の事で、正確にはこの10年ほど前からですが、細胞膜
が望ましい脂肪酸で構成されていない場合には細胞の機能に異常をきたして病気が促
進され、構成が是正されると細胞の機能が正常になって、病気の症状が消えるのです。
例えば不足していたオメガ3系脂肪酸が食事またはサプリメントで補われると、なす術の
なかった炎症が治まり、赤血球の変形度が高まる事で悪くなっていた末梢循環が改善さ
れ、脳や心臓の細胞を通しての電気化学メッセージの伝達が正しく調整されるようになる
ことが分かってきています。
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大切なのは現代人に不足しているオメガ3系脂肪酸と、摂りすぎだと言われているオメ
ガ6系脂肪酸のバランスです。例えばコーン油をスプーンに1杯分作るためにはトウモロ
コシが100本使われます。そして出来上がったコーン油には「食物繊維」も「ミネラル」も
「ビタミン」も飛んでなくなり、「とりすぎだ」、と言われているオメガ6系脂肪酸が大量に含
まれている事になるのです。
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■パーデュ大学の最近の研究によると、オメガ3系脂肪酸を不足させた子供は、行動や
学習に問題を生じやすく、注意欠陥、ハイパーアクティビティ障害(ADHA)を起こしやす
いことが分かってきました。
研究者のローラ・スティーブンスとジョン・R・バーゲスは6歳から12歳までの96名の少
年を対象に研究を行い、血液中のオメガ3系脂肪酸の量とADHAの相関を調べたとこ
ろ、「明らかにオメガ3系脂肪酸の少ない少年は高い頻度で行動上の問題を起こした。」
約半数の少年がADHAと判定されたが、オメガ3系脂肪酸の少ない少年には、ハイパー
アクティビティ以外にも、衝動的、不安、かんしゃく、睡眠障害などの問題が見られた。
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■心臓病、特に不整脈の危険性が高い場合にも、オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)をサ
プリメントで十分に補っておく必要がある。
最近の研究結果はEPA・DHAが心臓の調律が大きく乱れないよう助けをすることを示し
ている。ハーバード大学名誉教授のアレクサンダー・リーフ博士はオメガ3系脂肪酸は脳
細胞に対してと同様に、心臓の細胞の電気的な働きと「興奮しやすさ」に影響を及ぼすの
だと説明する。
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リーフ博士は犬に不整脈を起こさせる実験を行っているが、オメガ3系脂肪酸を与えて
おくと、不整脈を起こさせるのが非常に困難になるのを知った。心臓の細胞にオメガ3系
脂肪酸が高レベルに含まれている場合には、心律動異常を引き起こさせる電気的刺激
を一貫して50%強力にしなくてはならなかったのだ。
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現在、リーフ博士は人を対象にした研究に着手している。心臓発作を経験した患者に
細動除去器(電気ショックを与えて心室、心房の細動を除去し、正常な拍動を回復させる
もの)を埋め込み、魚の油(EPA・DHA)カプセルかニセ薬のいずれかを1年間摂り続け
てもらうという実験である。
魚の油カプセルを摂っていた人のほうが細動除去器からの放電回数が少なければ、そ
れだけオメガ3系脂肪酸に不整脈を予防する力があったという事になり、研究結果が待
たれている。「最も注目すべき点は、オメガ3系脂肪酸を摂取すると、心臓が関わる突然
死に対して、いち早く防御ができる事です。」と、リーフ博士は言う。
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■イギリスとフランスでも1,600名の患者を対象に心臓発作後の致命的な不整脈を抑え
る治療効果がオメガ3系脂肪酸にあるかどうかを調べる研究が行われているが、オメガ
3系脂肪酸を与えている人はオメガ3系脂肪酸をあまり摂っていない人よりも、致命的な
心臓発作の続発が少ない事が確かめられた。実際、研究期間中にオメガ3系脂肪酸を
多く摂っている人たちで心臓で死亡する人は一人もなかった。
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■デンマークでは55名の心臓発作を経験した患者を対象に、オメガ3系脂肪酸の効果
を直接的に確かめる研究が行われている。半数の人はEPA・DHAカプセルを3カ月(1
日に15カプセルか、または5g)摂り、摂らない半数の人と比較した結果、オメガ3系脂
肪酸は致命的な心律動異常を防ぐ事が確かめられた。
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■オメガ3系脂肪酸は、別の方法でも心臓病を防いでくれる。高すぎる血中中性脂肪値
を同様の薬効をうたうどの薬よりもよく下げるのだ。
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カンザス・シティにある聖ルカ病院中部アメリカ心臓研究所のリボたんぱく研究ラボラトリ
ーの部長、ウイリアム・ハリス博士が行った最近のデータの分析によるとオメガ3系脂肪
酸は異常に高い血中中性脂肪を下げる事に関しては、おそらく最も安全で、最良の「薬
品」であることがわかっている。
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ハリス博士は、きちんと対象をとって行われた72の臨床試験を分析した結果EPA・D
HAのサプリメントが異常に高い血中中性脂肪値を平均で28%下げている事を知ったの
だ。そして効果的なEPA・DHAの摂取量は一日3000・〜4000・一般的には1カプセル
に300・入っているから、1日に10から13カプセルであることも解った。
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慢性関節リウマチの症状を緩和する自然療法は緑イ貝抽出エキス、これが手に入らな
い場合は、単純にオメガ3系脂肪酸である。過去10年間に行われた無数の研究がEP
A・DHAを摂っていると、腫れ、痛み、こわばりを緩和する助けになることを明らかにして
いると、この病気の先導的な権威であるニューヨークのアルバニー医科大学リウマチ学
のヘッドドクター、ドクター・ジョエル・クレーマーは言う。
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■ベルギーで行われた一つの研究では、一日にオメガ3系脂肪酸を2、600・摂ってい
ると痛みが減り、握力が強くなっただけでなく、約半数の被験者が非ステロイド鎮痛薬を
減らす事ができている。
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■関節炎を緩和するために必要なオメガ3系脂肪酸の量は比較的多量で、一日に300
0・〜5000・だとドクター・クレーマーは言う。
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オメガ3系脂肪酸は継続して摂るべきで、改善を期待するには最低、12週間は取り続け
る必要がある。そして大多数の場合、大きな改善が見られるのは18週間から24週間後
である。
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■ニュージーランド原住民(マリオ族)はリューマチ・関節炎の人がほとんどいないこと
が以前から知られているが、マリオ族は毎朝きれいな海で収穫された緑イ貝(ミドリイガ
イ)を食べる習慣があり、この中に含まれるETAがリューマチ・関節炎に関与するリポキ
シリナーゼの生成経路を経つ働きがあることが分かってきている。ETAも近年発見され
たオメガ3系脂肪酸の一種で、オーストラリアのアデレードとクイーンズランドにある大学
の科学者たちの研究発表からEPAの200倍の力がある事が判明している。関節の動き
や腫れに大きな役割を果たす成分として今、この「緑イ貝エキス」に世界中の熱いまなざ
しが寄せられている。
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