桜庭一樹。作家(女性)。本人が格闘技好きなので格闘家の桜庭和志にあやかって一樹という男性名を付けたらしい。
ミステリ好きのやや理屈っぽい文学少女がそのまんま作家になった感じ。恩田陸にも同じように文学少女的なオーラを感じますが、恩田陸の作品が女子高独特の閉ざされた秘密の花園(?)における狂ったメルヘンの世界であるなら、この人のはなんというか、も少し生々しくてグロテスク。
ラノベの本をいろいろ読んでた頃、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の評判が良かったので読んでみたらこれは面白かった。ラストシーンがとても映像にできないくらい残酷で、美しかった。最初から予想されているその哀しい結末に向けて予定調和的に物語が進んでいく感じ。傑作。他の本も読んでみて思うに、この人は「少女」と「残酷」をテーマに書かせたらスゲ上手い。今後もその線でドンドン書いて欲しいっす。残酷な少女のテーゼ♪
3年くらい前に読んだ「赤朽葉家の伝説」は、旧家における女性三代(祖母、母、娘)の年代記で、メインのストーリー自体は最後に腰砕けになってしまいましたが、女性の描写は上手く、例えば、なかば無意識に他人の男を寝取ってしまう「寝取りの百夜」なんて女性が登場しまして、これは男性作家では絶対に書けないキャラ。この物語で一番面白いのは長女の毛鞠のヤンキー時代のところで、やっぱ「少女」を書かせたらうまいなこの人。ちなみに、このヤンキーストーリーを引き継いだ「製鉄天使」という続編が書かれていて、買おうかどうしようか迷ったのですが、「赤朽葉家」は結構面白かったし、もし「製鉄」がツマんなくてその印象を壊しちまうのもなんだな・・・と思ってまだ買ってません。いずれ文庫本になったら読むだろうけど面白いといいな。あと、直木賞をとった「私の男」は、なんかぬるっとした文体で、出だしから生理的に受け付けず、結局、5ページくらいしか読めませんでした・・・。なんで読めなかったのかな・・・。「少女」じゃなくて「女」の話だからかな・・・。せっかく買ったのにもったいない(涙)。
でもでも、この人の読書日記はおもしろい!。マグロが泳ぎ続けないと死んでしまう様に、この人はとにかく本を読んでいないと死んでしまうらしく、毎日ヒタスラに読み続け(主にミステリ)、読んだ本の紹介と併せ、極真カラテの道場に通ったりの日常も語られていて、その静かに波乱万丈している感じがとてもCOOL!!。たしかもう4~5冊は出てると思います。内容はミステリ本の紹介が多いのですが、そのジャンルを知らなくても十分たのしめます。この人は基本的には読書好きで内向的な性格の筈なのに、たまに世間様にたいしてキリッとした挑戦的なまなざしを向けるときがあり、そのへんがカッコよくて好きです。
先日、吉本興業の売れない芸人と結婚しましたが、そのダンナはいかにも負け犬系のダメ男(失礼・・・)で、サスガ桜庭一樹!言行一致!?。
今後も「残酷」な「少女」の作品と、COOLな読書日記を期待してます!