東京都目黒区上目黒3、無職、大原道夫さん(87)夫妻が死傷した事件で、殺人容疑などで逮捕された福島県いわき市常磐西郷町、自称無職、木村義昭容疑者(65)が、海外へ渡航する計画を立てていた疑いがあることが捜査関係者への取材で分かった。動きを察知した警視庁目黒署捜査本部が10日、福島県内で任意同行を求めて逮捕したという。捜査本部は、木村容疑者が捜査の進展を恐れ、逃亡しようとしたとみて調べている。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】
捜査本部によると、木村容疑者は事件当日の1月10日夜、東京駅から高速バスでいわき市に戻り、自宅で過ごしていたとみられる。防犯カメラの映像分析や高速バスの乗客名簿などから、2月初旬に木村容疑者が浮上。捜査員らが行動などを確認していたところ、アジアへの逃亡を計画しているとみられる動きが判明したという。
一方、大原さん方周辺の防犯カメラには、木村容疑者が事前に下見をしたような形跡が見つからないことも分かった。木村容疑者は事件当日、高速バスで上京後、東京駅からJRと東京メトロ日比谷線を乗り継いで大原さん方最寄りの中目黒駅まで移動していた。
木村容疑者は調べに対し、「地下鉄の路線や乗り継ぎ方法は詳しく分からなかった」と説明。「高級住宅街で金を取ろうと思い、目に付いた家に入った。東京といえば、目黒と田園調布が金持ちのイメージがあったが、田園調布は行き方が分からなかった」と供述し、大手百貨店の配送を装って大原さん方を訪れた理由は「有名な百貨店だと信用してドアを開けてくれると思った」と話しているという。
捜査では、木村容疑者と大原さんの接点は出ていない。しかし木村容疑者は、着替えや凶器のナイフを事前に準備したうえ、土地勘がないとしている住宅街に住む大原さんが自宅にいるところを襲っており、捜査本部が詳しい経緯を追及する。
毎日新聞 2011年2月12日 15時00分