政治【主張】日露外相会談 共同開発拒否の姿勢貫け2011.2.13 02:48

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【主張】
日露外相会談 共同開発拒否の姿勢貫け

2011.2.13 02:48

 モスクワで行われた日露外相会談で、前原誠司外相は「北方領土は日本固有の領土」として「法と正義」に基づく交渉を求めたが、ロシアのラブロフ外相は「受け入れられない」と拒み、完全な平行線に終わった。

 北方四島の軍備増強など実効支配を強化し領土問題を棚上げするロシアの姿勢を一層鮮明にしたが、日本は歴史を捏造(ねつぞう)した不法占拠の固定化を許してはならない。領土問題の「国際化」などを進める一方、ロシアの管轄を前提とした共同開発を受け入れてはならない。

 これらの背景には、民主党政権が日米同盟の空洞化を放置して中露の強硬姿勢を招いた事情も否定できない。菅直人政権は改めて同盟の信頼回復に努め、対露、対中外交の発信力強化に全力を挙げるべきだ。

 外相会談では、ロシア側が北方領土の共同開発を持ちかけ、前原外相は「日本の法的立場を害さない前提」で「ハイレベルで参加を検討したい」と表明した。

 日本が共同開発に参加しなくとも、ロシアは中国や韓国などの外国企業や投資を誘致する方針だ。前原氏の発言は、領土交渉がますます難しくなるとの計算が日本政府側に働いたとの見方がある。

 だが、そうだとしたら誤った判断と言わざるを得ない。日本はこれまでも共同開発は北方領土のロシア管轄権を認めることになるとして拒否してきた。共同開発を受け入れることは、北方領土返還を求める日本の立場を否定する結果を招くことになる。

 菅政権が取り組むべきは、日本の了解なしにロシアの一方的な共同開発を進めさせないことだ。そのためにも、北方領土問題に関するロシアの不法性と正しい解決策を国際社会に広くアピールすることが重要になる。

 それが中国や韓国へのメッセージともなり、ロシアの不法占拠に対する日本の立場を明確に示すことにもなる。日本単独でできる対策や米国などと連携した行動も積極的に模索すべきである。

 ロシア軍のマカロフ参謀総長は前原氏の訪露に合わせ、北方領土を含む千島列島に新駐留部隊を創設するなどの軍強化策を公表して恫喝(どうかつ)した。プーチン首相の北方領土訪問計画もあるという。

 問題は重大な局面にある。菅首相と前原氏はこれを肝に銘じて対露外交に臨んでもらいたい。

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