韓国の刑務所はまるで国営ホテル?(下)
収監者には矯導所から収容者用の衣服が支給されるが、これに加えて下着、歯磨き、歯ブラシ、せっけん、タオルなど120種類以上の日用品を購入することもできる。この日用品目録を見ると、イワシの缶詰、レトルトパックされた鶏肉の薫製、ヨーグルトなどの食品はもちろん、ブランド品のTシャツまであり、これらももちろん、欲しければいつでも購入できる。さらに日焼け止めクリーム、ボディーソープといった化粧品類、睡眠用アイマスク、ビタミンC製剤、疲労回復薬、フケ予防の高級シャンプーもある。ある矯導官は「酒やたばこ以外なら、必要な物は何でも買える」と話す。もし何か買いたいものがあれば、申請を行って購入することになっているが、この申請は毎日行うことができ、商品は週に2回支給される。1日に購入可能な額の上限は2万ウォン(約1500円)となっている。
最近になって矯導所は「国立ホテル」などと呼ばれているが、その理由は、このように快適な生活が送れることだけではない。矯導所内では無料で健康管理や教育なども受けることができるからだ。収監者らは1年に1回、定期的に健康診断を受け、検査の結果、糖尿病や高血圧などの診断を受けた場合には集中管理対象者とされ、治療を受けることができる。
収監者も一般の人たちと同じように旧正月(今年は2月3日)が待ち遠しい。旧正月には食事の際、基本メニュー以外にハンバーグ、雑煮、白米のご飯が特別に与えられ、1日に購入できる品物の上限額も4万ウォン(約2900円)に引き上げられるからだ。
日本や東南アジア各国の法務官らが韓国の矯導所を訪問すると、皆非常に驚く。韓国の矯導所はそれほどまでに施設が整備されているのだ。矯導官として35年以上の経歴を持つ永登浦矯導所のアン総務課長は「初めてこの仕事を始めたときに比べると、今は非常に施設や環境が改善され、かつてとは天地の差だ」と語る。
永登浦矯導所のチョ・ミョンヒョン所長は「たとえ環境が改善されたとしても、自由が制限されていることに変わりはない」と話す。韓国の収監者らはいかなる場合でも、1人で自由に動きまわることはできない。病気などで治療を受ける際や入院の際、また散歩のときでもこの原則は適用される。朝6時30分に起床し、夜9時の就寝まで、決められたスケジュール通りに動かなければならない。テレビを見たり、手紙を書いたりできる自由時間は1日に3時間。また、8時間は矯導所内にある印刷所、木材加工工場、縫製工場などで作業をしなければならない。面会は通常、月に4回可能で、電話は模範囚に当たる1級囚の場合は月5回、最低の4級囚では両親が危篤といった緊急な状況など、特別な理由があるときに限り、矯導所長の許可を受けて初めて可能になる。
ソク・ナムジュン記者