デパート入店を阻止する「町のパン屋品質検査」
京畿道竜仁市水枝区にあるデパートは、1.4キロほど離れた人気のパン屋がデパート内で営業できるよう、4年にわたり交渉を続けています。
東京製菓学校出身のチョン・インボムさん(44)が経営するこのパン屋は、常連客が多いことで有名です。デパート側は2007年からパン屋側と話し合いを始め、入店に合意しました。ところが具体的な手続きに入ろうとした矢先、多くの問題が浮上しました。
デパート内の売り場でアンパンやケーキなど50種類以上を販売することで合意し、法的な手続きに入ろうとした段階で、パン1個、ケーキ1個についてそれぞれ品質検査を受けなければならなくなったのです。1品目当たりの検査費用はおよそ40万ウォン(約3万円)、品質検査だけで総額2000万ウォン(約150万円)が必要になる計算になります。「調理場なしに販売だけを行う店舗でパンを販売するには、品目ごとに品質検査を受けなければならない」という条項があるからです。
幸い、品質検査を受けなくてもよい根拠として「食品安全管理指針」というものが設けられています。これは、製菓店から5キロ以内にある売り場なら、調理場の共同使用を条件に、品質検査なしにパンを販売できるというものです。しかし「5キロ以内」という条項には、同じ管轄行政区域内という条件が伴います。そのためこの製菓店は、デパートからわずか1.4キロしか離れていませんが、竜仁市の水枝区ではなく器興区になるため、この指針の適用を受けることができませんでした。
この問題をめぐり双方が対策を考えている間に年が移りました。2009年からはやむを得ず、検査費用や調理場の設置費用の負担について協議を開始したものの、大きな進展はありませんでした。
この製菓店だけが規制に引っ掛かっているわけではありません。釜山市南区にある製菓店も、09年に4キロ離れたデパートに入店しようとした際、同じような問題に直面しました。大韓製菓協会によると、この2店以外にも、全国で多くの製菓店がこのような規制に苦労しているとのことです。製パン業界の関係者は「これまで40万ウォンだった検査費用が、最近は50万ウォン(約3万7000円)に上がった」「行政区域を分けるのは目に見えない線だが、この線を越えるためにこれほど多くの費用が掛かるのは理解し難い」などと不満をこぼしています。
白承宰(ペク・スンジェ)記者