京春線電化で生まれた新たな光景(上)

 先月31日午前11時、京春線南春川駅。長さ150メートルのプラットホームで、上下線の電車が15-20分間隔で発着した。

 ソウルから到着した下り電車を降りた乗客の10人中8人は、山へ行くような服装でリュックを背負った60-70代の行楽客たちだった。友人たちと遊びに来たというキム・ヒギョンさん(66)=ソウル市東大門区徽慶洞=は「タッカルビ(鶏肉のトウガラシみそ炒め)を食べに来た。昨年末に京春線が電化されて以降、これで4回目だ」と話した。

 一方、ソウルへ向かう上り電車を待っていた乗客の半分は、手提げかばんを持った10-20代の若者たちだった。先月26日午前に南春川駅で会った、翰林大1年のキム・ヒジョンさん(21)は「京春線が電化されたことで、所要時間が短縮され、運賃も安くなったため、毎週月曜から金曜までソウル・鍾路の英語教室へ通っている」と話した。

■ソウルの予備校へ通う春川の若者たち

 昨年末まで、ディーゼル機関車がけん引する急行「ムグンファ(むくげ)号」が走っていた京春線に電車が走るようになったことで、毎朝のようにソウルの高齢者が春川へ向かい、春川の若者たちがソウルへ向かうという、新たな光景が見られるようになった。市外バス(1時間40分所要、運賃8100ウォン=約600円)よりも電車の方が所要時間が早く(急行列車で63分)、運賃も安い(2400ウォン=約180円)ため、ソウルの高齢者たちも、春川の若者たちも行動半径が広がったというわけだ。電車の場合、65歳以上の高齢者は無料ということも、高齢者の乗客の増加につながった。

 ソウルの高齢者たちの目的地は、剣峰山や昭陽江、江村といった観光地だ。下り電車を降りた高齢者たちが、タッカルビ専門店の送迎車に乗り込んでいったとき、上り線のホームでは若者たちがイヤホンで音楽を聴きながら電車を待っていた。ソウルの江南、鍾路、鷺粱津などにある学院(予備校や語学教室など)へ通う人、新村へ洋服を買いに行く人、蚕室でデートを楽しむ人など、その目的はさまざまだった。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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