「売り上げ半減・制作費大幅カット・地方局壊滅・キー局悲劇」というテレビ局の現実ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.2

2010年04月08日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 ただし、地方局のバックには、地方選出の自民党大物代議士がもれなくついている。彼らが陰に陽に圧力をかけてくるため、いままで監督官庁である総務省のコントロールは利きにくかった。

 けれども政権が交代したいまなら、自民党族議員の干渉を排除できる。事情に疎い民主党の原口一博総務相を動かして地方局を淘汰する絶好のチャンスとばかりに、総務省の役人らが動いているのだ。

 実際、原口総務相は事あるごとに「クロスオーナーシップ」の制限に言及している。これは新聞とテレビが株式の相互持ち合いをすることを規制するものだが、これで困るのは地方局だ。

 地デジ化のための設備投資の負担も重く響いた地方局は経営難から増資を行い、株式をキー局に引き受けてもらっている。だが、仮にクロスオーナーシップの制限が実現すると、株式の引き受け手がいなくなって経営が暗礁に乗り上げかねないのだ。

 もはや独り立ちできない民放の地方局。キー局や準キー局の番組を垂れ流すだけの放送から視聴者が離れていくのは当然だろう。

なぜNHKだけ伸びるのか

 民放各局の視聴率が低迷する中、NHKは手堅く視聴率を稼いでいる。大河ドラマ『龍馬伝』も好調で、平均20%近い高視聴率をキープ。数字がついてくるのは、やはり質が高いからだ。

 潤沢な資金が凝った番組制作を可能にする。NHKはこの不況のなかでも受信料収入を拡大させてきた。前年度比104億円の増収を見越した予算は達成目前で、来年度にはさらに60億円もの受信料収入増を予想している。

 NHKは編成でも動いた。この春から朝の連続ドラマを15分繰り上げて8時からとし、そのまま朝の情報新番組『あさイチ』につなげるという番組改編も決めたのだ。

「キャスターにジャニーズの井ノ原快彦(V6メンバー)を起用するのも脅威です。20%近くの視聴率を持っている朝の連ドラから『あさイチ』という流れがつくられたら、かなりの視聴者を取られる。必死になって対策を講じているところです」(キー局幹部)

 中身のない番組を垂れ流してきたツケが回ってきたといったところだろうが、時すでに遅し。前出の池田氏が語る。

「将来的には、日本テレビの氏家齊一郎会長が言うように、現在5系列ある民放が3系列程度に集約することになると見ています。東名阪で10局くらいしか生き残れない。そうなると、現在テレビ業界全体で3兆円ほどある売上高も半分の1兆5000億円程度にまで減るはずです」

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