「売り上げ半減・制作費大幅カット・地方局壊滅・キー局悲劇」というテレビ局の現実ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.2

2010年04月08日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「TBSは放送事業の赤字を副業である『赤坂サカス』の不動産収入で穴埋めしてなんとか売り上げを確保している状態ですし、フジテレビはお得意のお台場でのイベントや、『踊る大捜査線』などヒットドラマの映画化で稼いでいます。テレビ朝日は今や"通販のテレ朝"。深夜は自前の通販番組ばかりです。
  また、各局とも放映済み番組のDVD化にも力を入れています。DVDの売り上げはテレビ局のものになるので、いつもDVDになりやすい企画が検討されているんです」
(前出・営業社員)

 制作費が削られているため、高額ギャラの出演者は必然的に敬遠される。

「日本テレビが土日のスポーツ番組『SUPERうるぐす』で元NHKの堀尾正明キャスターを外したのは、高額ギャラを節約するためです。
  また、今年の番組改編の目玉は"浪速のみのもんた"と呼ばれる宮根誠司が司会の『Mr.サンデー』(フジ系列)ですが、これも宮根のギャラなら、みのより安く済むというので起用になった。ただし、宮根で数字がとれるかどうかは未知数。そこで、『朝青龍をゲストに呼べないか』『のりピーはなんとかならないか』と動いている真っ最中です」
(フジテレビ関係者)

 ギャラが安くて数字の取れるタレントばかりが重宝される昨今のテレビ業界だが、CMに出演しているとなると話は別だ。こんな例外もある。

「今春のフジの『月9』(月曜21時からのドラマ)の主演は木村拓哉と篠原涼子です。ギャラが高いキムタクや篠原を起用したのは、数字がとれるということのほかに、二人とも数多くのCMに出ているからです。彼らの主演だと、CMスポンサーを集めやすいという局の営業サイドの思惑があるのです」(放送作家)

地方局から潰れていく

 キー局でさえこの惨状なのだから、地方局の経営は比較にならないほど苦しい。すでに半数以上の局が赤字だが、それはこれまで地方局は「電波料収入」にあぐらをかいた"お気楽経営"を謳歌してきたからだ。

 地方局が流している全国ネットの番組は、キー局から買っているのではない。使用料を払うのではなく、逆に「電波料」をもらって放送しているのだ。

 元NHK職員で、現在は上武大学大学院教授の池田信夫氏が解説する。

「普通の商売なら、商品を卸せば売り手がカネをもらうのが当然ですが、テレビは逆。地方局はキー局の番組を流す際、200万~300万円程度のカネを受け取っているのです。この電波料を頼りに放漫経営をしてきた地方局ですが、ここにきてキー局の体力が落ち、電波料を絞り出したため、経営悪化が進んだ。
  今やキー局にとって、地方局はお荷物にすぎません。本音では、潰して自社の番組を流す中継局に衣替えさせたいと考えている。
  総務省も実は同じ考えを持っています。10年ほど前になりますが、総務省のある高官が、『地方局を潰して、コントロールの利くキー局と準キー局だけを残す。地デジ事業には赤字の地方局を潰すという狙いもある』と断言しています」

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