これは終わりの始まりか 日経「電子版」創刊に固唾を呑む新聞業界ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.1

2010年04月06日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 読売グループの超実力者、渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役会長兼主筆は、3月23日に行われたプロ野球・巨人軍の後援会に出席して、原監督にこう檄を飛ばした。「1位じゃなきゃダメなんだ。それが与えられた宿命」

 いかにも巨人は1位、新聞発行部数も1位と、やたら1位にこだわる、ナベツネ氏の高笑いが聞こえてきそうである。

 それにしても、このままの状態で新聞は生き残れるのか?

 たとえば、"勝ち組"である読売にしても、'09年3月期の広告収入はピーク時の1745億円から1014億円にまで落ち込んでおり、その後も広告収入の低下傾向は続いている。その意味でネット媒体が今後、新聞が生き残るための大きな手段であることは間違いない。

 前出の佐々木氏はキンドルやiPadのような新しい電子端末が登場すれば、これまでのような高水準は無理でも、収益を上げることは可能だという。

「パソコンで朝日新聞を読んでいる人は無料が当然と思っているので、いきなり有料化するのは難しい。しかし、携帯で朝日新聞を読んでいる人は月300円払うことに抵抗を感じない。同じものを提供されて、無料あるいは有料が当然と感じるのはパソコンと携帯という異なったメディアだからです。
  だから、新しいメディアが出れば、そのメディアでは有料で記事を読むのが当然という感覚になる可能性はあります」

 最後に全国紙同様、苦しんでいる地方紙についても触れておこう。元毎日新聞社常務取締役でジャーナリストの河内孝氏が言う。

「ハイパーローカルに徹して、あの横町のオジサンがどうした、あの家のネコがこうしたという、その地域限定のマイナー情報を読者に伝えられれば、全国紙よりも生き残れる可能性はある。現にアメリカではフリーの記者が立ちあげたハイパーローカルなサイトがちゃんと読者の支持を得ていますからね」

 現状を見る限り、新聞業界は近い将来、生き残りのための再編を余儀なくされるだろう。その結果、新聞の未来は超巨大化したメディア帝国と、おらが町の情報だけを伝える数多くのミニコミ紙という形に二極化することになりそうだ。

以降 vol.2 へ。

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