これは終わりの始まりか 日経「電子版」創刊に固唾を呑む新聞業界ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.1

2010年04月06日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 ちなみに産経ではタクシーも1区間の利用は経費として落とせない。それくらいの距離は歩けという方針からだ。そこで、この若手記者によれば、こんな珍妙な事態も起きているという。

「タクシーに乗って目的地までワンメーター、710円で着いてしまったときは、仕方なく、料金が上がるまで目的地周辺を走ってもらったという先輩の話を聞きました。かえって、不経済だと思うんですが」

 哀歓漂う話ではある。

読売だけはしっかり黒字

読売新聞
  さて、ここまで登場しなかった日本最大1000万部の発行部数を誇る読売はどうなのか。まずは中堅記者の話を聞いてみよう。

「やはり広告減というのは大きいですね。最近は、これまであまり紙面で見ることのなかった通販系の広告が目立つようになりましたから。それ以外に変わったことですか? まあ、去年のボーナスは夏冬ともに減りましたが、取材のときのハイヤーも普通に使っています。
  そういえば、4月から海外出張の際はビジネスクラスではなく、エコノミーにするようにお達しが出ました。この御時世、当たり前ですけど」

 この記者の話ぶりを聞く限り、これまでの各社の記者とは違って、さほど深刻な様子はない。それもそのはず。

 各新聞社が未曾有の不況にあえぐなか、読売だけは'09年下半期の販売部数が約1001万部と1000万部の大台を堅持。

 しかも微増とはいえ、部数をしっかり伸ばしている。他の全国紙がすべて部数を減らしているなかで、これは特筆に値する。業績面でも読売グループ全体の'09年3月期の連結決算では約82億円の経常利益を記録。業績悪化が目立つ新聞各社にあって、一人気を吐いているのだ。

 その自信からなのか、読売は新事業の展開にも意欲的だ。子どもに絶大な人気を誇る「ポケモン」を使って、ことわざや熟語を覚えてもらう連載企画が大ヒット。子どもが朝、新聞を読んでから学校に行くようになったと親たちの評判も上々だという。

 さらに、若者向けに人気アイドルグループAKB48を販促のキャンペーンモデルに起用。その他、ケータイ有料サイトの運営や、ウォール・ストリート・ジャーナルのアジア版と提携し、経済面の充実を図るなど、抜け目がない。その一方で、昨年冬のボーナスも大幅カットし、締めるところは徹底的に締めることを忘れないシビアさもある。

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