これは終わりの始まりか 日経「電子版」創刊に固唾を呑む新聞業界ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.1

2010年04月06日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 これに加えて、社内で囁かれているのが、今年4月の新組織改革における大規模な記者入れ替え策。朝日新聞は現在、東京・大阪・名古屋・西部の4本社体制を敷いているが、名古屋、西部両本社から東京と大阪に若手記者を大量に異動させ、記事作成の機能を東京・大阪に徐々に集中させる狙いがあるようだ。

 その一方で、東京、大阪両本社にいる50歳以上のあまり記事を書かない"大物記者"は、地方に追いやられる。すでに若手とベテランの入れ替えは始まっており、ベテランを地方に飛ばすことで自主的に退職させるのが狙いではないか、という声も上がっている。

毎日新聞
  昨年11月、共同通信への再加盟を発表した毎日。当初は共同通信に加盟する地方紙から、地元で販売競争をしている毎日新聞に、自分のところとまったく同じ記事が載ることについて反発も多かった。その後、毎日は複数の地方紙と提携し、4月からは共同再加盟と地方紙からの記事配信がスタートする。

 要するに毎日は自前で取材する地域を縮小、支社を撤廃し、その分を他社の記事で埋めることにしたのだ。裏を返せば、毎日はそこまで会社のスリム化を余儀なくされていたということでもある。現に記者が一人しかいない通信部30ヵ所を今年3月末までに閉鎖する方針だ。

 苦しい台所事情を反映して、毎日の社員たちへの経費削減命令も実に細かい。

 中堅幹部が苦笑まじりに明かす。

「最近、会社から『3月末までは文房具を買っても経費として認めない』というメールが届いたんです。要は新年度まではすでに各部にある文房具を使え、ということ。とうとう、ここまで来たかと思いましたね。同僚たちとは『幼稚園の園児のように、ボールペンに自分の名前を書いて紛失しないようにしようぜ』と自嘲気味に言い合ってますよ」

 さほど効果があるようには思えないが、それ以外にも、社が主催する展覧会のチケット1枚1300円を、社員一人につき2枚割り当てて販売させたりと、あの手この手。

 さすがに社員から文句が出ても良さそうなものだが、ボーナスは2回連続の前回比40%減。潰れないだけよいという諦めの溜め息が漏れるばかりだ。

産経新聞
  毎日よりもさらに苦しいと見られるのが全国紙の中で唯一、'02年に夕刊の廃止に踏み切った産経だ。すでに昨年2度にわたって早期退職者募集を行い、50代以上の社員には選択定年制を導入して、150人が早期退職の道を選んだ。

 若手記者が言う。

「経費節減はやれるところまでやり尽くしたという感じですね。東京駅と会社のある大手町駅間は地下鉄移動が経費で認められないので、歩くことになる。必要な参考文献もなるべく図書館で借りるようにしろと言われています。取材すればするほど赤字が膨らんでいくんです」

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