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井岡、7戦目で王者!父の肩車の上で感涙

 7戦目で世界王座を奪取し号泣する井岡一翔=神戸ワールド記念ホール(撮影・神子素慎一)
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 7戦目で世界王座を奪取し号泣する井岡一翔=神戸ワールド記念ホール(撮影・神子素慎一)

 「WBC世界ミニマム級タイトルマッチ」(11日、神戸ワールド記念ホール)

 井岡、国内最速世界奪取‐。挑戦者の井岡一翔(21)=井岡=が、7度目の防衛を目指した王者オーレドン・シッサマーチャイ(25)=タイ=を5回1分7秒TKOで破り、新王者に就いた。プロ7戦目での世界王座奪取は、元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎、前WBA世界Sフライ級王者・名城信男の8戦目を超える国内最速記録。元2階級制覇王者の井岡弘樹・井岡ジム会長(41)を叔父に持つサラブレッドが、日本ボクシング界の歴史を塗り替えた。

  ◇  ◇

 日本ボクシング界の歴史を動かした。プロデビューから2年足らず、わずか7戦目の井岡が、ここまで40戦無敗の王者を一蹴。ボクシング一家で生まれ育った逸材が、国内最速で世界王座まで駆け上がった。

 「叔父さんのベルトを、同じタイ人から取り戻せてよかった」。弘樹会長が24年前に初代王者として君臨したWBCミニマム級のベルトを腰に巻き、父・一法さんの肩車の上でうれし涙を流した。「このベルトを巻くためにやってきた。うれしいの一言」。しみじみと歓喜の言葉を漏らした。

 アマチュアで磨いた技が、世界戦の舞台で輝きを増した。「アマで駆け引きを培ってきた。頭を使って勝とうと思っていた」。自分から打って出ず、リング中央に誘い出す。2回にカウンターで左フックを合わせ、早々にダウンを奪った。

 4回の公開採点では2‐1。「ダウンも取ったし、(ジャッジ)3者とも勝っていると思っていた。もっとアグレッシブさを出さないと」。冷静に判断し、攻勢を強めた5回に勝負を決めた。連打を振るう王者のボディーに、左アッパーを一閃(いっせん)。もん絶するオーレドンを見て、レフェリーが試合を止めた。

 元2階級制覇王者を叔父に持ち、父も元プロボクサー。物心ついたころから、夢は「世界チャンピオン」だった。偉大な叔父の華やかな姿にあこがれたわけではない。弘樹会長が2度目の王座から陥落した時、一翔は3歳。「覚えているのは会長が3階級制覇を目指していたころ」だと言う。

 厳しく過酷な練習を乗り越え、世界戦のリングに向かう姿が心に焼きついている。それでも、弘樹会長は4度の挑戦に失敗し、3階級制覇を達成することなくグローブを置いた。「世界チャンピオンは簡単になれるものじゃない」と十分に理解した上で、叔父と同じ世界に足を踏み入れた。

 「3階級(制覇)の重みは知っている。叔父に並べるのは、3階級制覇した時じゃないですか?」。浮かれた気持ちは一切ない。「よく『ゆっくりしたい』とか言うけど、僕は次に向けて練習するだけ」。国内最速の世界王座奪取も、一翔にとっては序章に過ぎない。

(2011年2月12日)

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