2010年12月15日 11時39分 更新:12月15日 14時19分
環境省のレッドリストで「絶滅」とされているサケ科の淡水魚「クニマス」が富士五湖の一つ、山梨県の西湖で生息していることを京都大総合博物館の中坊徹次教授らが確認した。クニマスは1940年ごろ、秋田県の田沢湖で最後に確認されて以降、姿を消しており、約70年ぶりの発見となった。「絶滅」とされた種の魚の発見は初めて。
中坊教授によると、同教授からクニマスの絵を描くよう依頼された知人でタレントのさかなクン(東京海洋大客員准教授)が、西湖で捕獲された黒っぽいマスを持ち込んだのがきっかけ。
改めて捕獲したマスを3~4月に解剖したところ、体の色だけでなく、胃にある指状の器官の数やえらの形の特徴などが、記録に残っていたクニマスと一致した。西湖のマスは形などが似ているヒメマスの亜種とされていたが、遺伝子分析を行うと遺伝子型が違っていた。
クニマスは田沢湖だけに生息していた固有種で、成魚は全長約30センチ。35年ごろ、田沢湖から卵10万個が西湖と、近くの本栖湖に移されたという記録があり、中坊教授は「その時、生まれたクニマスが生き残っていたのではないか」と話している。【広瀬登】