2010年12月15日 8時57分 更新:12月15日 12時1分
日銀が15日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業がプラス5と前回の9月調査(プラス8)から3ポイント悪化した。悪化は、リーマン・ショック後の景気後退が鮮明になった09年3月以来、7期(1年9カ月)ぶり。3カ月先(11年3月)の予想もマイナス2と2期連続の悪化を見込んでいる。大企業・製造業のDIは、中国など新興国向けの需要拡大を背景に改善を続けてきたが、円高や景気刺激策打ち切りの影響を受け、企業の慎重姿勢が強まっている。
業種別では、16業種のうち7業種でDIが悪化。自動車が11ポイント下落のプラス21、電気機械も12ポイント下落のプラス2で、ともに2桁の落ち込みを記録した。8月上旬から続いた15年半ぶりの円高と9月のエコカー補助金終了が響いた。10年度下期の想定為替レートは1ドル=83円87銭で、統計をとり始めた96年度以降、最も高い円相場を見込んでいる。
3カ月先の予想は、自動車が21ポイント下落の0と下げ幅を拡大。円高は一服しているものの先行き不透明感はぬぐえていない。大企業・製造業の10年度下期の経常利益計画は、前年同期比11.7%減と、前回調査時の計画に比べマイナス14ポイントの大幅な下方修正となった。
大企業・非製造業のDIも1ポイント下落のプラス1と7期ぶりに悪化。夏の猛暑効果の剥落で小売りが4ポイント下落するなど、12業種のうち9業種が悪化した。先行きも2ポイント下落のマイナス1だった。
中小企業は、製造業が2ポイント上昇のマイナス12だったものの、非製造業は1ポイント下落のマイナス22で6期ぶりに悪化した。【大久保渉】