2010年12月15日 2時31分 更新:12月15日 2時35分
政府は、地球温暖化対策の一環で導入を目指していた国内排出量取引制度について、予定していた13年度からの実施を断念する方針を固めた。12年末で期限が切れる京都議定書に続く国際的な温暖化対策の枠組みが不透明で、企業活動への影響を懸念する産業界の意向を踏まえた。民主党も15日の関係合同会議で先送りの提言をまとめる予定だ。
同制度は、大企業の温室効果ガス排出量(枠)に上限を設け、目標を守るために他企業と排出枠を取引する。地球温暖化対策基本法案は施行後1年以内に制度の成案を得ると規定。実施は「最短で13年度」が政府内の認識となり、経済産業、環境両省は、ポスト京都で新たな対策を求められることも視野に具体的な制度設計を進めてきた。
しかし法案は「ねじれ国会」の臨時国会で継続審議となり、来年の通常国会でも成立のめどが立たない。11日までメキシコで開かれた国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で、ポスト京都の枠組みが決まらなかった。
13、14日の民主党の関係合同会議では、導入に積極的な意見もあったが、「負担は大きく、企業の海外流出につながる」と慎重な意見が相次いだ。政府は、民主党が15日にも出す「議論先送り」の提言を受け、近く関係閣僚会合を開き、制度の骨格策定を先送りするとともに、導入までの日程も見直す方針だ。【江口一、立山清也】