苫小牧のニュース

「名乗り出て」と妻 林業作業員ライフル死から1週間

(2011年 2/11)

遺影に手を合わせる泉加里さん

 厚真町の民有林で、安平町早来の新渡戸勝彦さん(45)が間伐作業中に銃弾に当たって死亡した事件が11日で1週間。苫小牧署は、現場で目撃されたハンター2人が事情を知っているみて行方を追っているものの、有力な情報はつかめていない。遺族は「一刻も早く名乗り出てほしい」と訴えた。

 「結婚して3年。これから家族でいろいろ楽しもうと話をしたばかりだったのに…」。新渡戸さんの妻泉加里さん(44)は仏壇の夫の遺影に手を合わせ、涙ぐんだ。

 悲劇は4日。いつも通りの朝。「じゃあ、行ってくる」、「気を付けてね」。それが夫婦の最後の会話になった。悲報は、一緒に山で作業していた同僚からの電話だった。目の前が真っ暗になり、今も信じられない、という。まじめで口数が少なく、頑固なところもあったが、優しかった夫。暖かくなったら趣味のバイクに乗りたい、夏になったら海に行こう、バーベキューもしたいね―。家族の夢は、一発の銃弾で無残に壊された。

 「心当たりのあるハンターは出てきてほしい」と泉加里さんは言った。

 新渡戸さんと同僚の2人は4日午前7時ごろ、間伐作業現場に入った。9時30分ごろ、銃声が聞こえた。同僚が辺りを見回すと、200メートルほど先の町道にオレンジ色のベストを着たハンター2人が青色系のRV車(レジャー用車)で立ち去るのを目撃。あおむけに倒れている新渡戸さんを発見した。

 司法解剖の結果、右脇腹から左胸に掛けて、銃弾が貫通したような傷があった。ハンターが撃ったライフル銃の弾丸に当たった可能性が高い、が苫小牧署の見方。業務上過失致死の疑いで捜査している。

 ライフルの銃弾や薬きょうを現場付近で探しているものの、まだ見つかっていない。10日は雪の下の地面も掘り返した。

 道内約4300人のライフル銃所持者から事情を聴いている。厚真町内や近郊のコンビニエンスストアの防犯カメラも調べた。立ち去ったRV車の車種や走行経路の特定しようとの試みだ。捜査は難航している。