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社説

県内の図書館 新たな挑戦で楽しさを 2月12日(土)

 県内の市町村立の図書館と利用者が変わり始めた。住民参加による交流や、情報発信の場を目指す動きが目立っている。

 上田市のNPO・上田図書館倶楽部(くらぶ)(米津福祐理事長)が季刊の電子雑誌「環(かん)−千曲川流域の人と文化」を創刊、インターネットで誰でも読める。

 内容は、作家一ノ瀬綾さんの回想録や元NHKアナウンサー青木裕子さんの朗読についての寄稿、東御市・梅野記念絵画館を訪ねてなど多彩だ。

 他の図書館訪問記が充実している。初回は「まちとしょテラソ」と呼ばれる上高井郡小布施町立図書館だ。この中で長野県図書館協会事務局長・宮下明彦さんは、小布施のよさを三つ挙げる。

 (1)学びの場、子育ての場、交流の場、情報発信の場という理念が生かされている。建設段階から住民参加で練り上げた。

 (2)固定観念を打破し貸し出し中心から脱皮。古本市、電子書籍も読める端末導入などに挑戦。

 (3)住民主導と、公募で選ばれたテレビディレクター出身の花井裕一郎館長の魅力で、町外の文化人や経済人も引きつけている。

 小布施町立図書館のホームページよると、テラソは「照らそう」から生まれた。キャラクターのテラソくんの日記で活動が分かる。▽宇宙を考える企画(講演や人形作り)▽おふくろの味で交流会▽お父さんが読み聞かせなどだ。参加者の笑顔がいい。

 公募の図書館長は、佐久市の放送作家・加瀬清志さんらもいる。公募館長4人による公開の座談が昨年、上伊那郡箕輪町で開かれた。公募だと、面白いことに挑戦しやすい面がある。

 宮下さんは次号、塩尻市立図書館の訪問記を予定している。市民交流センター内にあり、調べ物に欠かせないデータベースや文学サロンも充実している。

 信州は以前から、各地で読書運動や読み聞かせが盛んだ。諏訪郡富士見町図書館は1人当たりの貸出数は全国のトップだ。こたつもあって、くつろげる。

 積み上げを基に、新しい時代にあった図書館にしたい。期待は多様化している。子育て、交流、退職後のよりどころなどだ。

 小布施などに見られる新たな挑戦が広がってほしい。地域の文化的資源の発掘、地域に必要な知識や情報の整理・提供など、それぞれの実情にあった図書館にすることが大切だ。工夫を凝らせば、地域の課題解決の知恵や元気を生み出す拠点になる。

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