北海道厚真町桜丘の民有林で、間伐作業をしていた安平町の林業作業員、新渡戸勝彦さん(45)が銃弾に当たって死亡した事件から、11日で1週間が過ぎた。道警はこれまでの調べで、銃を撃ったのは道内のエゾシカ猟のハンターの可能性が強いと判断し、猟友会員を中心に聞き取りを進めている。弾丸が見つかれば口径や種類から鉄砲店が割り出せるため、道警は現場での捜索に全力を挙げる。
道警によると、新渡戸さんの傷口は直径7ミリで、右脇腹から左胸にかけて弾が貫通していた。角度などから、斜面下の町道からライフルで撃たれた可能性が高い。公道での狩猟行為は、鳥獣保護法で禁じられている。町道と新渡戸さんの間にシカが通った形跡はなく、ハンターは新渡戸さんをシカと誤認したとみられる。
事件直前にはオレンジ色の上着を着た2人組のハンターが、近くで作業していた同僚に目撃されている。猟友会員は通常、事故時に共済保険の保険金が減額されないようオレンジ色のジャケットを着用しているため、目撃された2人も会員だった可能性がある。ただ、同様のジャケットなどは全国の猟友会が会員に無料配布しているため個人の特定は困難だ。
道などによると、今年度、道内で狩猟をするのに必要な狩猟者登録を済ませているのは8132人。道警は▽事件に関与していそうなハンターが新千歳空港を利用していない▽2人組が乗っていた青のRV(レジャー用多目的車)に該当するレンタカーが見つからない▽道外のハンターは道東でシカ猟をすることが多い--ことなどから、道内のハンターを中心に調べている。この場合、登録者は約6000人で、ライフル銃の所持者は約4300人になる。
道警は既に、厚真町を管轄する道猟友会苫小牧支部の会員からは聞き取りを終えた。現在は道南や道央の猟友会に情報収集の範囲を広げるとともに、道内のライフル銃所持者の当日の行動などを調べているという。【斎藤誠、金子淳】
毎日新聞 2011年2月12日 1時58分