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[事件]ニュース トピック:日本の議論
【日本の議論】ウイルス作成罪成立に向けて 相次ぐサイバー犯罪が背景
2010.9.12 07:00
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共謀罪創設との兼ね合い
法務省は16年の通常国会で、ウイルスの作成と頒布を取り締まるウイルス作成罪を盛り込んだ刑法改正案を初めて提出した。
しかし、日本弁護士連合会などが成立に猛反対する共謀罪の創設を目指す組織犯罪処罰法改正案とセットで提出したことが、ウイルス作成罪成立の足かせとなってしまい、これまでに2度にわたっていずれも廃案となっている。
日弁連は18年、共謀罪について「刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則。未遂や予備の処罰さえ例外とされているにもかかわらず、予備よりもはるかに以前の段階の行為を処罰しようとしている。黙示の共謀で罪が成立し、処罰範囲が著しく拡大するおそれがある」などとして反対を表明している。
法務省は、ウイルス作成罪を盛り込んだ刑法の改正法案を来年1月の通常国会に再提出する方向で検討に入っているとされるが、共謀罪とは切り離し、ウイルスへの対処を先行させるとみられる。
石井教授は「共謀罪は日本の刑法の体系には合わないだろうし、もう少し工夫が必要だ」と話し、共謀罪新設反対国際共同署名事務局の跡部由光さん(60)も「国もいろんな方策を練っているようだ。逆の見方をすればウイルス作成罪を先に成立させれば、共謀罪を単独で成立させるのはさらに難しくなるだろう」との見解を示す。
一方、法務省はホームページ上で、共謀罪が国民の日常生活に危険を及ぼすことはないと強調。暴力団による組織的な殺傷事犯▽振り込め詐欺のような組織的詐欺事犯▽暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀-など組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為に限り処罰するとしており、「一般的な社会生活上の行為が共謀罪にあたることはない」と説明している。
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