「週刊新潮」平成23年2月10日号

 先週発売の「週刊新潮」に、国際問題研究家の瀧澤一郎氏による「男性寿命は『59歳』という『ロシア』亡国の未来図」という注目すべき記事が載っていましたので、要点を紹介します。

 ロシアの人口は、2010年の段階で1億4180万人で、この20年間で600万人も激減したそうです。これは世界でも例を見ない速度で、その原因について、あるシンクタンクの研究員は次のように述べています。

 貧困化と死亡率増大(人口減少)は相関しない。問題はむしろ、アルコールや麻薬にある。世界の最貧困諸国は酒を買えないほど貧しいから、アルコール中毒者は少ない。しかし、ロシアはそこまで貧しくない。

 ロシア人が酒飲みなのは有名です。それが人口減少の一因となっているというのです。1989年に64・21歳だった男性の平均寿命は、93年には58・91歳にまで落ち、今も回復できていないそうです。元々低かった平均寿命が一段と下がってしまったわけです。アルコール中毒と人口減少の因果関係について、先の研究員はこう説明しています。

 85年から時のソ連共産党書記長ゴルバチョフが3年間実施した「反アルコール運動」でアルコール消費量が27%減少しました。その結果、男性の死亡率が12%も減少し、女性も7%減少。死因がアルコール中毒と判明している死亡者は56%も減少したのです。

 ロシア人は死ぬほど酒を飲むということでしょう。その大きな理由として、寒さが挙げられます。出掛ける前にウォトカを引っかけて体を温め、職場に着いたらそこでまた一杯飲んで仕事に取りかかります。これでは効率など上がるはずがありません。

 かつてエリツィン大統領が訪米してカリフォルニアワインを飲んだとき、「これは水か?」と尋ねたという有名な話があります。飲んべえのロシア人にとって、ワインなど酒ではないのです。

 1991年8月19日に、ゴルバチョフ大統領は、「国家非常事態委員会」を名のる守旧派が起こしたクーデターによって、妻とともにクリミア半島フォロスの大統領別荘に軟禁されました。「8月クーデター」と呼ばれますが、3日後にクーデターの首謀者らは呆気なく逮捕されました。そのとき彼らはへべれけに酔っぱらっていたそうです。クーデター成功を祝っていたのかも知れませんが、余りのだらしなさに世界中の人が呆れ返りました。

 それならアルコール対策をして酒を飲ませなければよいのですが、あるロシアの政府高官によると、酒造業者からクレムリンに莫大な献金がなされているそうです。だからそのまま放置されているのです。こんな体たらくですから、ロシア人から酒を取り上げることはできそうもありません。

 ロシアの人口激減のもう一つの原因は、麻薬です。この国では、世界で生産されるヘロインの20%に当る200トンが1年で消費されているそうです。麻薬漬けの状態なわけです。あるロシアの警察関係者は、こう慨嘆しています。

 現在の麻薬常用者は、政府の公式統計で500万人を突破しており、これはソ連時代を遥かに上回っています。しかも、このうち麻薬の過剰摂取で毎年10万人が死んでいます。その大半が、生殖可能な年齢層。ロシアでは、麻薬常用者は平均7年以内に死亡する。加えて、麻薬常用者も多数含まれるエイズ患者は600万人。麻薬による精神疾患患者も600万人にのぼるのです。

 酷い状態で、18歳以下の子供3100万人のうち、3分の1に当る1000万人が麻薬常習者という情報も記されています。麻薬と寒さは関係ありませんから、この退廃振りはロシア人の気質から来ていると見るより外ありません。要するに現実逃避の傾向が顕著なのです。オウム真理教の一大拠点がロシアにあったという話も頷けるものがあります。(ロシア人の信者の実態はユダヤ系だったという情報もありますが…)

 ロシア人ジャーナリストによると、自殺率のランキングで世界4位までは旧ソ連圏で占められているそうです。ロシア人の自殺率も高く、やはり厭世的な傾向が見られます。日本の自殺率は6位ですから、この点では人のことは言えませんが、我国で年間3万人を超える自殺者を出すようになったのは小泉政権が誕生してからのことで、死神政権だったと言ってよいでしょう。

 ロシア人は、酒と麻薬に走ってボロボロになり、自殺するパターンが多いようです。気の毒ですが、酒と麻薬で意識が朦朧とした状態で核のボタンでも押されたら堪りません。瀧澤氏は、放っておけばロシアは日本に助けを求めてくるはずで、北方領土も返ってくると楽観的な見通しを立てていますが、そんなに上手く行くでしょうか? ロシア人は一旦領土を手放しても、執拗に取り戻そうとします。甘い対露認識を改めることが先決問題でしょう。

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Author:陽光堂主人
十代から本を乱読して得た雑多な知識と実務家としての経験とを併せて、新刊書を話のネタに世の中の真実を追究します。主なジャンルは、政治経済・歴史・精神世界です。「陽光堂主人」は、某月刊誌で使っているペンネームです。

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