任期満了に伴う4月10日投開票の広島市長選は、立候補予定者がほぼ出そろった。これまでに厚生労働省中央労働委員会元事務局長の松井一実氏(58)、副市長の豊田麻子氏(44)、元市議の大原邦夫氏(61)、市議の桑田恭子氏(49)、市民団体代表の呉羽山人氏(60)、建築コンサルタントの田中正之氏(51)の新人6人が、いずれも無所属で立候補する意向を固めた。秋葉忠利市長は今期限りで退任する。
3月27日の告示までの前哨戦は、自民党広島県連が擁立した松井氏と、民主党県連の支援団体である連合広島に待望論が強い豊田氏を中心にした構図となる公算が大きい。これに前回2007年の市長選で次点だった大原氏、市議として培った人脈を持つ桑田氏が加わる。呉羽氏、田中氏は政策を中心に訴える考え。
市長選にはさらに、国政で「第三極」を掲げるみんなの党県広域第1支部が、推薦候補者を内定し近く発表する見通しだ。共産党県委員会は連携する市民団体と擁立を検討中。それぞれ独自候補を擁立しない公明党、社民党、国民新党がどの立候補予定者の支援に動くかも鍵を握る。
3期12年続いた「秋葉市政」を継承するか、転換するのかが焦点。秋葉市長が主導してきた広島五輪構想や、県営広島西飛行場の市営化の是非がその中心となる。
各立候補予定者とも告示日に向け準備を活発化させている。
元厚労省官僚の松井氏は、立候補表明翌日の11日、あいさつ回りを本格化させた。自民党県連から立候補の要請を受けた一方、幅広い支援態勢を組む考えでいる。自民党に推薦申請するかどうかを慎重に検討する。
総務省出身の豊田氏は、初の女性副市長として秋葉市長を支えた。市民団体や一部市議から立候補要請を受け、連合広島が支援に動き始めた。民主党県連が擁立を模索した経緯はあるが政党推薦は求めないとみられる。
市議を3期途中まで務めた大原氏は、秋葉市政の全面転換を打ち出す。前回市長選は一部の自民党市議の応援も受け次点だった。政党には推薦を求めず、草の根で支持を広げていく構えで、後援会活動を強化している。
市議2期目の桑田氏は、近く地盤の佐伯区に事務所を開く。子ども会など長年取り組む地域活動の人脈を生かし、支持を広げていく姿勢をみせる。政党推薦は求めない。徹底した行政改革を公約の柱の一つにする考えだ。
呉羽氏は政策チラシの作成準備を進める。田中氏はブログを中心に考えを訴えている。
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