チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25969] 【習作】Fate再構成物【オリキャラ登場】
Name: 金ぴかアングラー◆37560c84 ID:dfea7cf7
Date: 2011/02/12 05:29
初めまして~。
SSを書くのは初めてなので、色々指摘してもらえると嬉しいです。

出来る限り、完結まで続けたいと思います。



[25969] 1
Name: 金ぴかアングラー◆37560c84 ID:dfea7cf7
Date: 2011/02/12 05:31
男は孤独だった
かつては同じ理想を抱く仲間達がいたが、現実を前に皆が旗を折り膝を屈した。
故に、男は自らを永久機関とした。

何の事は無い、死徒へ堕ちたありふれた男――――――されど、理想は消えず――――――




1.
ピンポーン――――――玄関のベルが来客を告げる。

「はい、どなたでしょうか?」
やや無愛想な少年の声。玄関を開くと、
「はじめまして、ヘンリク・ブリクセンと言います。衛宮切嗣さんが亡くなったと聞きまして、弔問に伺いました」
金髪をした熊のごとき大男が夕日を背に佇んでいた。



切嗣の遺影にしばらく黙祷を捧げた後、窮屈そうに正座をしたままヘンリクは士郎に向き直った。
「この度はお悔み申し上げます」
一方、士郎はこの初めての弔問客にかなり興味があるようで
「―――で、アンタは爺さんとどんな関係だったんだ?」
と臆面もなく尋ね、
男は少し驚いたように苦笑いを浮かべた。
「士郎君は結構ストレートな子だね。 フム、言うなれば・・・同志かな」
「・・・じゃあ、アンタも魔「ストップ!」」
ヘンリクは開いた右手を士郎の方に突き出し、辺りを見渡した。
それを見て士郎は不服そうに押し黙る。
「今、家に一般人はいないな?」
「あぁ、藤ねぇはまだ大学だから戻るのに1,2時間はかかる」
その返答にヘンリクは軽く頷き、重ねるように尋ねる。
「君は魔術師なのか?」
「ん? いや、魔術使いの見習いだ」
「なら、彼の『理想』も聞いているのか?」
「…正義の味方だ。俺も将来そうなってみせるんだ」
ヘンリクは呆れた様に溜め息をついた。
「何ともまぁ、アイツも罪深い事を・・・」
士郎は納得がいかないようで眉間に少し皺を寄せた。
「いや、爺さんは俺に正義の味方になれなんて一言も言わなかったぞ。俺が勝手に憧れただけだ」
ヘンリクも同じように少しだけ眉間に皺を寄せた。
「しかし魔術を教えたんだろう。結局同じ事だよ」
「頼み込んで無理やり教えてもらったんだ。後、爺さんを悪く言うな」
困ったような表情でヘンリクは続ける。
「―――どうしても魔術師でないと駄目かい? 消防士や警察官は?」
「ダメだ、これは爺さんとの約束なんだ」
ヘンリクはまた大きな溜め息をつき、天井を見上げた。
(切嗣、お前も私もつくづく業が深いなぁ・・・)
「……なら今日は帰ろう。続きはまた今度話そうか」
疲れた様な表情をして彼はのっそりと立ち上がる。
「分かった。でも一つだけ訊いていいか?」
「何だい?」
「アンタは正義の味方をあきらめたのか?」
瞬間、彼の表情が固まった。
「・・・諦めきれていれば、此処にはいないだろうね」
苦虫を噛み潰したかの様な表情。
だが、士郎は言葉を続ける。
「なら何で正義の味方を止めさせたがるんだ?自分は目指してるのに」
表情を切り替えたヘンリクは誤魔化す様に手を振る。
「質問は一つだけだろう? …それも含めて、また今度会おうか」
「分かった。玄関まで送るよ」
二人は無言で玄関に向かった。
「じゃ、さよなら」
「ああ、さよな「ただいまー、士郎!」」
「こんばんは、初めまして」
「あ、これはこれは初めまして、ってこの外人さん誰、士郎?」
「爺さんの知り合いらしいぞ」
「どうも、ヘンリク・ブリクセンです。宜しく」
「藤村大河です、宜しくお願いね」
大河はしげしげとヘンリクを眺めている。
「どうしました?」
「いや~初めて会った頃の切嗣さんに似てるなって」
「光栄ですね、アイツはどこでもモテモテでしたから」
おどけた様に肩をすくめてヘンリクが笑った。
「そうよね~、しかも本人に自覚が無かったのよね」
「全くです。 さて、そろそろ失礼しますね」
うんうんと頷くと、彼は来た時と同じようにすっかり暮れきった街の中へのそのそと去って行った。
「・・・なぁ、藤ねぇ」
「どしたの、士郎?」
「背格好も顔つきも全然違うのにどうしてブリクセンさんが爺さんに似てるんだ?」
「う~ん、俺に触れたらヤケドするぜ、みたいな張り詰めた感じかな?」
「ふ~ん」
「それより、ねぇねぇ士郎、今日の晩御飯は何?」
「今日は白菜と貝柱が安かったから、お鍋にしよう」
「うんうん、最近は寒いからねー。そうと決まれば、善は急げなのだー!」
「コラ、バカ虎、廊下を走るな!」
「虎って言うなーー!」






彼らの運命(Fate)は違う形へ動き始める。
しかし彼らはそれを知る由も無く日々を送る、昨日と変わらぬ明日を信じながら。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.00342702865601