アメリカ西海岸で行われている離島の防衛などを想定した日米共同訓練で、陸上自衛隊は、夜間、暗闇の海から陸地に潜入するという特殊な作戦の訓練を行いました。
新しい防衛大綱で示された離島の防衛態勢の強化に向け、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊は、アメリカ海兵隊との日米共同訓練をアメリカ西海岸で9日から1か月の日程で行っています。現地時間の10日(日本時間の11日)は、敵の部隊が離島に上陸したおそれがあるという想定で、夜間、海から陸地に潜入するという特殊な作戦の訓練が行われました。訓練では、まず、偵察に当たる隊員たちが、戦闘服を身につけ模擬の小銃を抱えたまま数百メートル沖合から暗い海の中を陸地に向けて泳いで進みます。海岸に到着すると、相手に気付かれないよう身をかがめながら周囲を警戒し、周りに誰もいないことを確認したあと沖合に向けてライトで合図を送ります。すると、沖合に待機していた小型のボートが次々に砂浜に上陸し、乗っていた隊員たちが素早く陸地へと展開していきました。隊員たちは、波に体を流されないようにするための姿勢の取り方や、ボートへ合図を送るタイミングなどを指導に当たるアメリカ海兵隊員に何度も確認しながら、訓練を進めていました。西部方面普通科連隊の西岡利博小隊長は「海兵隊は上陸作戦の経験が豊かなので学ぶことが多い。お互いにコミュニケーションをとりながら能力を高め合っていきたい」と話していました。この訓練は、5年前から始まりましたが、陸上自衛隊がアメリカ海兵隊から教わる内容は年々高度になっているということで、その背景には、アジア太平洋地域で中国などをけん制する戦略の一端を自衛隊に担わせたいというアメリカ側の思惑があるとみられます。