アフリカで54番目の独立国が7月にも誕生する。半世紀に及ぶ内戦が続いたスーダンの南部地域だ。先月の住民投票で99%が独立に賛成し、中央政権もこの結果を受け入れた。国際社会は住民の意思を尊重し、南北の分離独立、新たな国造りを積極的に支援していく必要がある。
アフリカ最大の国土を誇るスーダンでは、イスラム教徒が多い北部のアラブ系住民と、キリスト教徒主体の南部のアフリカ系住民による衝突が絶えなかった。1983年から22年続いた第2次内戦では、約200万人が死亡したとされる。
米欧などの仲介で2005年に包括和平合意が成立し、ようやく内戦は終結した。和平合意は6年間の暫定期間を設け、この間に南部独立の是非を問う住民投票、南北境界線の画定などを実施するとしていた。和平プロセスの進展を歓迎したい。
難題は山積する。南北の境界線はなお2割が未画定だ。特に主要油田地帯のアビエイ地区の帰属が決まっていない。スーダンの国家収入は原油に依存するが、油田の8割は南部に集中する。南北の分離で石油配分を巡る対立も予想され、社会混乱や民族紛争の火種になる恐れもある。
中国が圧倒的な影響力を持っていることも気掛かりだ。スーダンには米同時テロの首謀者、ウサマ・ビンラディンが一時滞在し、米国はテロ支援国家に指定している。米欧が投資を控えるなか、中国は油田開発などに積極的に投資してきた。現在、スーダンの全輸出の約80%、原油輸出は65%が中国向けだ。
中国は南部でも総領事館を開設するなど関係強化に努めているが、石油権益を優先し、南北間の石油配分などで政治介入することがないよう求めたい。南北の政権が中国に過度に依存せず、均衡のとれた国家運営ができるよう支えていくことも、分離後の政情安定には欠かせない。
アフリカでは資源外交を強める中国の存在感が増している。日本はスーダンに6年間で約5億5千万ドルを支援してきたが、南部を中心に社会基盤整備が遅れている。治安維持も課題だ。日本は対アフリカ外交を立て直す意味でも、まずはスーダンの分離独立が安定的に進むよう一層の貢献策を検討していくべきだろう。
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