井岡7戦目最速で世界王者に/ボクシング
<プロボクシング:WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇11日◇神戸ワールド記念ホール
歴史を塗り替えた。プロ7戦目で世界初挑戦したWBC世界ミニマム級10位の井岡一翔(21=井岡)が、王者オーレドン(25=タイ)と対戦。2度のダウンを奪い、5回1分7秒TKO勝ちした。辰吉丈一郎、名城信男の持つ世界王座獲得の国内最速記録(8戦目)を更新した。元世界2階級王者・井岡弘樹氏(42=井岡ジム会長)を叔父に持つボクシング界のサラブレッドが、夢の頂点に立った。
初めて、勝って泣いた。井岡は勝利の瞬間、大きく両拳を突き上げた。父一法さん(43)らが駆け寄ってくる。肩車されると思わず号泣。緑のWBCベルトをしっかりと腰に巻いた。
井岡 めっちゃうれしい。このベルトを巻くためにボクシングをやってきた。この喜びをみんなで分かち合いたい。叔父さんと同じベルトを、同じタイの選手から取り戻せて良かった。
叔父の弘樹会長は、87年10月にWBCミニマム(当時ストロー)級王座を、タイ人選手と争って初代王者に君臨。あれから24年、DNAを引き継いだサラブレッドが、同じ王座を手にした。
一撃で決めた。2回に左フックでダウンを奪うと、迎えた5回だ。オーレドンがパンチを打ち終わり、体が伸びきった瞬間。左ボディーアッパーを脇腹に突き刺した。もん絶した40戦無敗の王者は再び立てなかった。実は事前に、井岡は左ボディーでのKO勝利を“予言”していた。
「オーレドンを、シリモンコンにしますよ」。シリモンコンとは、97年のWBCバンタム級戦で挑戦者の辰吉が左ボディー一発で下したタイ人王者。辰吉ばりの左ボディーで、辰吉らの国内最速記録を抜いた。井岡は「本当になってびっくりした」と目を丸くした。
尊敬する叔父に1歩近づいた。幼少時から大きく影響を受けた。弘樹会長の現役時代の試合は、繰り返し映像で見てきた。叔父が現役時代に書いた日誌をひもとき、同じ練習メニューを積んだ。叔父にならい、東農大入学時から練習ノートを毎日つけてきた。
「叔父はいつまでも憧れ。超えられそうで、超えられない。僕とは持って生まれた器が違う」。センスの塊に見えるが「自分は身体能力がない」と漏らしたこともある。それでも誇れる能力がある。「教わったことは、すぐモノにできる」。弘樹会長の助言には丁寧に耳を傾けた。特に体調管理。会長からの「食事はバランスよく。毎日20~30品目食べるように」という教えを守ってきた。
本来のライトフライ級から1階級下げての栄冠。約10キロの減量は苦しく、6月予定の初防衛戦後にも王座返上する可能性がある。弘樹会長は世界2階級を制した。井岡は4階級制覇が目標だ。
井岡 叔父さんを追い抜けるとしたら、3階級制覇した時。亀田(興毅)選手が3階級を取ったが、最後は決定戦で取ったもの。自分は内容の濃い、重みのある3階級制覇にしたい。(最終的には)4階級制覇を狙いたい。
飛翔を願って命名された「一翔」がこの夜、大きく羽ばたいた。平成生まれで初めて世界王者になった21歳が、今後も歴史を刻み続ける。【大池和幸】
[2011年2月12日12時26分 紙面から]
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