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アマゾネス3世 "サイクリング"さんが書き込んだレビュー (best place on earth)

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美人司法書士の事件簿 相続殺人編
美人司法書士の事件簿 相続殺人編
山本 浩司著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,680
在庫状況: 在庫あり

5つ星のうち 2.0 うける〜う。, 2011/2/12
試験対策推理小説というジャンルに参入した筆者のエネルギーに敬服いたします。
問題は、この著作が「お金払ってまで買うできかな」というところかも。

大きな書店でご覧になるといいですよ。

逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録
逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録
市橋 達也著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,365
在庫状況: 在庫あり

11 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 真実を書いている, 2011/2/10
商業ベースの著作は本当のことを書いてないものが99%です。
自分のイメージを作るために書くし、テレビで名前が売れたので書くとか、
自分の過去をさもひどいように盛って書くとか、家族のことを美化して書くとか。

この著作は珍しく、本心だけで書いてあると思います。
刑罰を逃れようと必死なので、虚偽の申し立てをするのは当たり前ですよ。
しかし、この著者は淡々と、しかし、かなり稚拙に、ほんとの気持ちを語っていると考えます。

あからさまに編集者が手を入れているとみられるところがかなりある。
検察官面前調書などを見慣れているので、ピンと来ますね。
作為なしで出版すればよかったのに。
編集者の奇妙な干渉で、一番いいところ、著者の感性のそのままが破壊されているところ多数。
これが、読者に嫌悪感を与える原因になっているとおもいます。

本人に完全に自由に語らせて、手を入れるべきではなかった。
てにおはや漢字の間違い(誤字脱字)もあるはずで、そういうものもそのまま掲載すべきだった。

 ★ 永山事件の被告(獄中入信、獄中結婚、手記出版)は、けっきょく死刑判決を受けていますが、
   比較してみると、彼は、育った環境ははるかに裕福ではるかに恵まれている。逃亡中も礼儀正しい。頭も普通以上にいい。


読んでください。高々ファミレス一回分です。

私はこの著者に同情します。すべての人間は弱い。
まだ若いから、更生してほしい。

すべての犯罪者は社会復帰する権利があります。

実例中心 捜査法解説―捜査手続から証拠法まで
実例中心 捜査法解説―捜査手続から証拠法まで
幕田 英雄著
エディション: 単行本
価格: ¥ 3,360
在庫状況: 在庫あり

1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 実例を知ることと刑事訴訟法の入門として, 2011/2/9
導入で使うと後の勉強が非常にスムーズにいくと思います。
主に第一線の捜査に従事する警察官、検察事務官などに向けて書かれたようです。
捜査の方法についての記述に特色があります。

文章は引き締まっており、判例が徹底的に引用されています。

(ポイント)

1)創作の具体例も豊富。判例は、興味深いものが選んであります。
  
  検察官や警察官が、その経験をもとに、いろんな刑事関係の本を出しています。
  そういう本は、しばしば「私の個人的体験では〜だ」式の内幕ものになり、
  読む価値がないものが多いですが、この著作には、そういう世俗的な下品さ
  はないです。これは特筆すべき長所。

  わかりやすさ優先なので、公判で弁護人とやりあうようなものではないですが、
  判例と条文解釈をベースにしてあり、それなりのしっかりした書き方になって
  います。つまり、読者を子供扱いしていない。これも長所です。

2)実際に担当された事案をベースに説明が進んでいるところもあるようです。

  筆者は、埼玉の夫婦殺人事件の公判担当検事として最高裁までがんばったりして
  凶悪な難事件をかなり扱ってきたベテランの検察官です。

  いまは、あとがきによると管理職です。検事長まで行くかも。そうすると最高裁判事の目が出ますね。
  最高裁入りしてもらって、最高裁でも、面白い刑事判決をたくさん書いてほしいですね。
  足利事件のときは直接謝罪をしに行ったんだったかな(高井検事正だったかな?)。
どっちだったかな? 
  たしか複数の検事(正)が直接謝罪に行ったと思うんですが。
  新聞では正確に書いてなかった記憶あり。

  謹厳ななかに、文中(ひそかに)だじゃれが連発してあって、笑えるところがたくさんあります。

  弁護人としてみると、公判担当検事には二種類あって、事前の証拠整理など神経質
  なほど細かい検事さんと、核心だけズバッと突っ込んでくる検事さんとがいます。
  小技だけのマニアックな感じで、ビジョンがないタイプの検事さんもいます。

  この筆者は、小技ももちろん得意だが、核心をずばっと公判で論争するタイプ
  でしょうね。

  この筆者から指示を受け取る警察官は丁寧に教えてもらえるでしょう。

3)現実的なイメージがわかないという受験生は、この本で、
  頭の中に自分なりのものを作るといいと思います。実務はミクロできわめて細かいということを知るべき。
  そのうえで、やっぱり、一つ一つの令状が具体的に思い浮かぶような勉強をすべきです。

  冒頭に、刑事手続きの流れを書いてありますが、法曹会には「検察講義案」と
  いうのがありますから、この本を読みながら、適当なときに、講義案へスイッチ
  するといいのではないかと思います。大局を見失わないようにしましょう。

(新司法試験のために)

4)新司法試験は、この本の上に判例と条文の解釈をすこしだけ積み上げておく必要がありますね。

  元々、司法試験受験準備のために書かれていないので、学説が書く「まくら言葉」の部分が足りません。
  あとは、記憶だけの答案にならないように、自分で、簡単な文章練習をすれば十分です。

  普段は、たとえば、前田=池田で勉強をしながら、わからないなあと思うところを
  具体例で考えるとどうなるのかな、みたいな使い方をするといいのでは?
  秘密録音とか、傍受令状とか、やっぱり具体的に考えないとわかりずらいですよ。

   ★ 証人尋問は直接出ないといわれていますが、尋問調書を資料として用いる論文問題は
     ありうる出題です。この本には警察官への尋問例がかなり詳しく書いてあります。参考になりますよ。
   
   ★ 国際捜査は出ません。

   ★ 証拠開示は出る可能性あり。完全に改正法が浸透しているので、基本的なところがそろそろ出るかも。

  時間がある人は全部読めますが、面白そうなところを拾い読みでもいいです。

  それだけでも十分に元の取れる、いい本です。

  抽象的なばかりの、学者さんの書いたものを、法科大学院や法学部の教科書に
  使われてウンザリしている人は、この本を読んだらいいです。

  圧倒的な力量の実務家の書いたテキストとはこういうものかと、目からうろこの
  はずですよ。

  がんばってください。


民法の“なぜ”がわかる
民法の“なぜ”がわかる
前田 達明著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,940
在庫状況: 通常2~4週間以内に発送

5つ星のうち 5.0 脳を活性化する入門・再入門・再再入門書, 2011/2/2
読みきりの記事でつないでありますが、どれひとつとして、人まねはありません。
これは非常にすごいことで、著者が良心的でかつ一流の人間であることを示しています。

民法の条文でなんかおかしいなあとおもったらこの本を読むといいでしょう。
法の解釈において論理的に考えるとはどういうことかがよくわかります。

 ★ 立法者意思の変遷をたどるという実に手間のかかることをやっているのに
   書くときはさらりと書くみたいな矜持のある本です。

 ★ 要件事実としての条件期限についての伊藤=前田論争をご存じであれば、本書も興味津々で読めるとおもいます。
   
     ※ (注)司法研修所でのかつての教え方は、貸借型についての本質説非本質説ではなかったようです。
  
内容は多岐にわたります。真剣に勉強している人にぜひ勧めます。
わたしは、学部時代から勉強に疲れたときやどうしても勉強できないときなどに
読みました。期末試験から新司法試験まで、かなり追いつめられて勉強していたとき、バランス感覚を保ち、我に返るために読み、
救われた一冊です。


民法総則講義
民法総則講義
潮見 佳男著
エディション: 単行本
価格: ¥ 3,780
在庫状況: 在庫あり

2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 試験勉強には不要, 2011/1/23
レビュー対象商品: 民法総則講義 (単行本)
新鮮味がないので玄人向けの業界本でしょうねきっと。
全部ほかの本に書いてある。何でも詰め込めばいいとおもっているからでしょう。
洞察力のようなものが著しく欠けている。
データブックとして何でも書くみたいな本です。

この著者は新司法試験の民法の試験委員を長くやっているらしい。
だから買って読んだほうがいいという考えの受験生もいるらしく、うちの事務所でバイトをしているKO法科大学院の卒業生も試験委員の著作は有利かもといううわさがあると言っていた。

う〜む。趣味で勉強するわけじゃないですからね。

結論から言うと、受験勉強のために必然的に持つべきテキストかどうか再考が必要です。カネに余裕がある富豪受験生か、パニックって何でも買うみたいなヴェテラン受験生とかにはいいかも。

理由1 新司法試験の論文問題は、実務家が作っている。研究者試験委員はディスカッションするだけ。研究者委員のたたき台は徹底的に批判されほとんど跡形がないぐらいになる(そうです)。
 
理由2 この本に書いてあることは、全部佐久間総則に書いてある。とくに法律行為のところは佐久間の勝ちです。そのうえ佐久間のほうが薄い。

理由3 要件事実そのものは実は新司法試験には出題されていないです。それを下敷きにした考えが問われているとおもうんで、受験生には誤解があるとおもいます。
 合格した後でわかるんですよ。ゴチゴチでやるのは間違いだって。わたしも一喜一憂していたし、卒業から本試験までは必死でやっていたし。

 いまからアドバイスできるとすれば、要件効果を判例に従って押さえる書き方を目標とすべきで、このような「何でも書く」タイプの本とまともにつきあうと、勘違いを起こすでしょうね。択一には受かるがあとは永遠に受からないとかになってしまう。
 講義で、著者に実際に使ってもらって質問できるなどであれば別かもしれませんが。

 テクニカルな側面は、研修所に入ってから、非常に短期に詰め込むので、もっと解釈の基礎をしっかり書いたもののほうがよいです。

(受験のためなら)

 答案の書き方は判例を読むほうが早わかり。
 何回も不合格になっている法科大学院卒業生は、このタイプの本を読むとまた不合格でしょうね。民法のこのタイプにひっかかって時間つぶししていては、全部やれないので合格しません。
 気づかないまま、迂回した勉強をすることになります。
 真剣なひとほどこういう本で悩むでしょう。
 受験目的の民法はできるだけ簡潔に済ます作戦をたてたほうがベターです。

    

谷山豊全集
谷山豊全集
谷山 豊著
エディション: 単行本
価格: ¥ 10,500
在庫状況: 在庫あり

1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 和のガロア, 2011/1/11
レビュー対象商品: 谷山豊全集 (単行本)
岩波の講座シリーズのしおりなど、ごくごく目につきにくい状態で谷山予想などが触れられています。おそらく知る人はその周辺の人以外まずいないでしょう。

斎藤正彦先生が倉田令二朗氏に対して、ずっとさかのぼれば、デーデキントがオイラーに対して。う〜む。わたしのような凡凡人からはなにかうらやましいな。

谷山豊氏は1927年生まれで1958年に自ら命を絶った。
当時東大数学科の助教授だった。
婚約者がそのあとすぐ自殺している。
平凡ななかの重大な悲劇だとおもう。


この本は当時の東大数学科の内部で一種の私家本として流通していたものを編集しなおしたもの。
当時の友人先輩後輩出版社の編集者が「そうだったそうだった」といいながら作ったものだということがよくわかる。
数学の論文(フェルマーの大定理へ向かう谷山予想など)と、随筆,手紙遺書,評伝など。


 ● ご本人の文章は芳醇。戦時の日本の状況での文体だとおもえば実に自由。
   結核に罹患、急進思想、数学者の才能、海外の数学者など、

和のガロアの評伝というか、容貌はかなり違うみたいだけど・・・・・。

日常の肉体的営為と精神の進路との大きなギャップに悩む姿が浮き彫りになっている。

この人が長命だったらどうなっていたのだろうか?
駒場か本郷で教わったのだろうか? 
 

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5つ星のうち 5.0 恐るべき書き味, 2010/12/30
川口氏開発の「究極の一本」ということだがたしかにすごい。

冠、胴軸、首軸、がマイカルタ素材で、キャップのねじ切り部分だけがPPM(強化したプラスチックの一種)になっている。
金の21K鍍金。

 ★ 某デパートが限定で売り出したマイカルタはプロフィット80ベースで銀鍍金で、ねじ切りのところもマイカルタで、
   首軸の先端はシルバー925のリングが付いていたが、コスト面からか、こちらには付いていない。

 ★ 素材のマイカルタは、樹脂注入の上加圧した綿糸ですが、表面は非常に硬く、おそらくプラスチックより丈夫だとおもう。
   握ってみるとしっくりきます。綿の織りが表面に出ていて、カーボン素材と同じような外観がある。

一度書いてみたらわかりますが、恐るべき滑りの良さと書き味です。

 ★ 極細を勧めます。力入れなくてもすうっと書けます。個人的には、予定表とメモ帳に使っています。
   書類の下書きは直接PC入力しているので、文章そのものは書かず、行程表とかチェックリストとか、簡単な日記の部分とかに
   使っていますが、その書き味にいつも感嘆する。

 ★ 素材がインクを吸収するので、しみにならないようにカートリッジだけ使用して、インクボトルから入れないようにしている。

長さは、ペリカン1000や149より約8ミリぐらい短いが、重さはこちらのほうが数グラムぐらい重いかも(手で持っただけ)。

 ★ 定価55000円だが、値引き価格が44000円〜49000円ぐらい。
   高いか安いかだが、書くということを重んじるなら、モンブラン146、149(約7〜10万円)より確実によいとおもう。
   ブランドでモンブランを持ちたいというなら別だが、万年筆はけっきょく筆記具だから、たとえ100万の蒔絵でも、書けなければ
   無意味ではないでしょうか?

   なくならない内にどうぞ。 一生ものというのはそれほど誇張されているとはいえない。

 

現行条文からみる民法改正提案完全比較
現行条文からみる民法改正提案完全比較
価格: ¥ 2,940
在庫状況: 在庫あり

1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 買う必然性がない, 2010/12/30
単なる資料集で、ネットで収集できるものばかり。
切り貼りで作ったことがすぐわかる。
おそらく有斐閣の六法に付録でつくだろうとおもわれる。

 ★ 債権法改正の資料は、審議会の詳しいレジュメが法務省HPにたくさんある。
   その他研究者のサイトなどに参考資料がたくさんある。

民事訴訟法 第3版4訂版
民事訴訟法 第3版4訂版
伊藤 眞著
エディション: 単行本
価格: ¥ 5,250
在庫状況: 在庫あり

3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 重厚で歴史的な叙述に強い, 2010/12/27
レビュー対象商品: 民事訴訟法 第3版4訂版 (単行本)
現時点で民事訴訟法(判決手続きの部分)の教科書としては、本書と新堂民訴の2冊がもっともポピュラーでしょう。
あとは、高橋講義上下。

 ★ 新堂民訴に比べると、こちらのほうが保守的。ずっと旧訴訟物で通してあり、争点効の発展的解消についても冷静。
 
 ★ 判例の分析は、高橋上下のほうが詳しい。

実務家は全員持っていると思う(読んでいるかどうかは別)

 長所はいろいろあります。
 いちばんいいのは、ある見解があるとすれば、その歴史的論争プロセスをできるだけ簡潔に表現しようとしているところです。
 だから、裁判官の書いたものなどに比べると、運用が立体的に理解できるようになっている。
 やはり訴訟法は、「いまはこうだから」では物足りず、「昔はこうだったが〜という理由で今はこうだ」みたいに書いてもらうほうが
 理解しやすいし、考えてみる材料を与えてくれるのでよいとおもう。
 倒産法への架橋を意図した叙述が多く、それなりに役に立つ。

 東大教授の民訴のテキストなので、四方八方からの評価を意識しなければならず、したがって、思いつき的なことは書いてありませんが、
 著者の伊藤先生は、蝶ネクタイとか自分でしめて講義をするモダンな先生で、解釈はかなりスマート。
 
 欠点もある。
 著者の見解まで行き着くのに十ページぐらい読まねばならないところが多く、読み切るのに忍耐がいること。
 独自のことばでいいかえてあるので、判例の該当箇所との対比にかなり時間を食うこと。

 読むに値する本だと思います。
 ご参考までに。

民事訴訟実務入門
民事訴訟実務入門
瀬木 比呂志著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,625
在庫状況: 在庫あり

4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 オリジナルの見解と全体の構造論, 2010/12/13
レビュー対象商品: 民事訴訟実務入門 (単行本)
結論から言うと、民事事実審の法廷技術とその背後の文書技術について書いたもの。

 ★ 裁判官が法廷から世の中をみるというようなものではなく(もちろんそういう書き方のところもある)、
   裁判官から見た法廷の技法についての洞察集といったほうがいいとおもう。
   一気に読めます。わかりやすい。文章も明晰。

著者は旧31期さいたま地裁判事。民事一筋。円熟期を迎えた裁判官で民事保全法の立法と解釈で有名。私も持っています。
筆名 関根牧彦でも著作ありとのこと。
「カフカの目を閉じれば世界は」(希望タイトル)があるとのこと。
 ※ ただし私は、小説は読んでおりません。

本書の内容は、先立つ「民事訴訟実務と制度の焦点」の簡略版。

同著者の「制度の焦点」と新著「ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断」へのクロスレファレンスが相当にある。

「制度の焦点」「ケースブック」,「民事裁判実務と理論の架橋」は,頁が多く全体の把握に時間がかかり,かつ悪いことに高額。

ゆえに,院生の方々や社会人の方々は、本書だけ読んでも、十分役に立つ。

本書は、巷間氾濫している受験本ではない。

  ★1章から18章まで縦書きの文章による構成。
  ★スケベ根性を出して受験用にしようなどという人には向いていない。
  ★ 同じ裁判官ものとしては井上薫「刑事実務入門」がありますが、まったく違うスタンスです。こちらはより実務的で現実密着。

読者としては、一回実務を通過して立ち止まるみたいな段階の人間に一番向くのではないでしょうか。
弁護士にはけっこう耳の痛いことも書いてあり、なるほどとおもうところとそうでないところがある。

 筋の悪い方面の依頼だけ受ける弁護士先生の相手をしなければならないのが事実審裁判官なので
 それなりの「人物評価」がされているところは興味深いです

もちろん、法学部の学生諸氏でも、わからないことはないです。ただし行間を読むことができるかどうか。

民訴の条文や民訴規則などの解釈そのものというよりも、日常の民事事件の処理をめぐるノウハウをわかりやすく詰め込んだもの。
その意味では、手作りのアイデア満載本で、オリジナルですぐれた見解を知るチャンスだとおもう。
イージイに誰かの見解に依存することなど決してしていないのはさすがです。
学者への反論も、「ケースブック」ほどではないが、きっちり書いてある。

 ★ 手持ちの事件の処理に追われる事実審裁判官の創意工夫された判決文の書き方の提言がある。
 ★ 争点整理の手法についてのアドバイスあり。
 ★ アメリカ法などとの比較もある非常に視野の広い著作です。

(目次)
1章 民事訴訟法学と民事訴訟実務法律家と市民
2章 訴えの提起まで
3章 民事保全について
4章 訴えの提起とこれに対する応答
5章 裁判所の構成事件処理の分析
6章 裁判官書記官当事者のコミュニケーション民事裁判官の役割
7章 争点整理の方法1
8章 争点整理の方法2
9章 争点整理の方法3
10章事実をどのようにはあくするか
11章準備書面の書き方など
12章証拠調べ
13章事実認定のあり方
14章法的調査と立論法的判断
15章和解のあり方とその技術
16章判決のあり方とその技術
17章合議の実際とその検討
18章控訴と控訴審のあり方

目次からわかるように、事実審の争点整理事実認定などとくに/力を入れた内容になっている。

 ※ 判例タイムズ1226号と1228号で、この著者を囲んだ座談会が企画されている。
   お読みになった方も多いのではないでしょうか。

 ※ 「ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断」は,著者の下した判例を編集し,ケースで語る民事訴訟法。
   解答なしの「解説」「考えられる各種の設問」,「参考事項」,「和解の可能性」で構成されています。
   これは判決の選択がすばらしいし,叙述のスタイルが,司法研修所の教育スタイル。
   独学には無理だが、かりに本書との併読ができれば、ホントの理解ができるでしょう。


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