低所得層を直撃する物価高(下)

物価上昇で寒い懐

 キムさん一家は銀行ローンが約4000万ウォン(約300万円)あり、毎月利子を30万ウォン(約2万2000円)程度払っている。松坡区内で倉庫代わりに使っている店舗スペースの賃貸料も毎月36万ウォン(約2万7000円)かかる。キムさんは「家賃の20万ウォンまで含めると、毎月110万ウォン(約8万2000円)が黙っていても出ていく。以前は毎月100万ウォン(約7万4000円)近く貯金できたのに、最近は貯金どころか積立預金を切り崩したところだ」と話した。

 生活費負担も増大した。キムさんは「昨年秋に1週間に2万~3万ウォン(約1500~2200円)だった果物の購入費は、同じ量食べようと思えば、現在は4万ウォン(約3000円)もする。魚、コメ、野菜は食べないわけにはいかないが、果物は高いため食べるのを減らした」と語った。食費は以前よりも20-30%増えているという。大学を卒業しても就職先が見つからない息子も心配の種だ。キムさんは「青年層の失業が深刻で、息子が就職できずにおり、つらさが増す」と心配げに話した。

 ソウル市麻浦区の面積20坪台のアパートに伝貰契約で住む李さん(31)は、証券会社で300万ウォン(約22万3000円)の月給をもらっているが、それまで2億ウォン(約1490万円)だった伝貰の保証金を今年1月に3億2000万ウォン(約2380万円)まで上積みしたため、1億2000万ウォン(約890万円)を銀行から借り入れた。毎月の金利負担だけで60万ウォン(約4万5000円)に達する。李さんは「月給が60万ウォン減ったのと同じことだ。娘の粉ミルク、離乳食、衣服なども値上がりし、生活費が足りないほどだ」と表情を曇らせた。

物価不安、長期化の兆し

 物価負担はさらに増大するとみられる。韓国銀行は11日、1月の生産者物価上昇率が前年同期比6.2%に達したと発表した。過去2年2カ月で最高の水準だ。卸売物価を示す生産者物価は、品目によって1週間から数カ月後の消費者物価に反映されるため、物価上昇は今後も続くと見込まれる。中でも野菜類など農林水産物の値上がりが目立った。特に果物と野菜はそれぞれ74.8%、47.2%上昇。水産食品は19.0%、畜産物は15.2%値上がりした。原油価格と原材料価格の急騰で、工業製品価格も1年前より6.8%上昇した。

 LG経済研究院のカン・ジュング研究員は「原油価格の上昇で、石油製品が値上がりし、全般的に物価不安が高まっている。特に所得が少ない層の苦しみがさらに増大している」と指摘した。

 ソウル市立大の尹暢賢(ユン・チャンヒョン)教授(経営学)は「低所得層の物価負担を軽減するためには、低所得層に限定した割引など、選別的な値下げを検討すべきだ」と提言した。

李陳錫(イ・ジンソク)記者

パク・ウィレ朝鮮経済i記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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