2011年2月12日3時1分
沖縄・尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した映像を、ネットの動画投稿サイトに流出させた元海上保安官、一色正春氏(44)が朝日新聞社のインタビューに応じた。
――捜査が終わって起訴猶予となった。流出させて間違いなかったと今も思う?
秘密かどうかにこだわるのなら、あれは秘密ではない。秘密というのなら、ちゃんと起訴して公判で争えばいい。上の指示でそう判断したのだろうから検察を批判するわけではないが、むちゃくちゃな理屈だ。「秘密を破ったから悪かった。だけど罰するまでには至らない」という検察の垂れ流し情報だけを載せるのはフェアではない。
――映像は、巡視艇「うらなみ」の乗組員も見られるようになっていた。
だから、最初は秘密でもなんでもなかった。秘密になる理由も分からない。むしろ隠したことによるデメリットがあると思う。それを論じずに「秘密だから秘密」というのはいかがなものか。
――今後どのようなことをしたい?
何もまだ決めていない。思いつくまま生きているから。計画性がないから、こんな風になる。
――那覇地検が船長の釈放を判断する前後、どのように事件をみていた?
18日に出版する本(「何かのために sengoku38の告白」朝日新聞出版刊)の中に事細かに書いてある。
――ネットの拡散力をどう感じた?
やはり速い。速いし、そこに偏見とか主観が介在しない。それがテレビ局にできるかといったらできない。
――とは言え、米CNNには映像を送っている。
日本のマスコミが信用できないから、という消去法。この事件に対する報道を見ても、同じことをやろうとする人間がほかにいても、メディアに持っていくかというと持っていかないでしょう。
――同僚が偶然見つけた映像を見た?