2011年2月1日 21時11分 更新:2月1日 21時43分
1日の衆院予算委員会で、自民党離党後に菅再改造内閣で入閣した与謝野馨経済財政担当相と、与謝野氏の「古巣」自民党の議員が舌戦を繰り広げた。昨年4月に同党を見限りたちあがれ日本を結党、さらに民主党政権入りした元同僚を、自民党は容赦なく批判。閣僚経験の豊富な与謝野氏は巧みな答弁でかわしたが、中には苦し紛れの発言もあった。「因縁の対決」は今後も尾を引きそうだ。
自民党の追及ポイントは(1)09年衆院選で比例代表で自民党から復活当選した経歴(2)過去の発言との整合性--の2点だ。
「与謝野氏はいつの間にか民主党の大臣席に収まっている。政治家としての矜持(きょうじ)はどこに行ったのか」。この日質問のトップに立った石原伸晃幹事長は、菅直人首相に対し、与謝野氏に議員辞職を促すよう求めた。
首相が「民主党でない議員も含めて(与謝野氏が)適任だと(判断した)」と答弁すると、石原氏の後を受けた鴨下一郎政調会長代理は「比例で自民党と書いてくれた人のおかげで(議員)バッジを着けていることをどう感じるか」と与謝野氏本人を追及した。
与謝野氏は「仕事だけはやれと激励される方が99%だ」と反論し、議員バッジについて「(税と社会保障の一体改革の)仕事にかけるモチベーションを維持するために必要だ」とこだわった。鴨下氏は与謝野氏が09年の衆院選前に自民党と交わした「反党行為をしたら議員辞職する」との誓約書を明かし「約束事をほごにした」とたたみかけた。
稲田朋美氏は、与謝野氏が自公政権の財務相として、民主党のマニフェストを「犯罪に近い」と批判したことを挙げ「犯罪の共犯者になってしまった」と追及。与謝野氏は「やや言い過ぎた」とあっさり軌道修正すると「ここから先の難しい局面をどう乗り切るかが民主党の大きな課題だ」と、菅政権への協力姿勢を強調した。
最後に質問した柴山昌彦氏は、与謝野氏が昨年の通常国会で、鳩山由紀夫首相(当時)の実母からの資金提供問題で「平成の脱税王」と挑発した経緯に言及。「野党だからそのぐらいの迫力でものを言わなきゃいけない」とはぐらかす与謝野氏を、柴山氏は「自分の言葉に責任を持たない。これが今の与謝野氏の体質だ」と批判した。【中田卓二】