2011年2月1日 21時1分 更新:2月2日 0時9分
菅直人首相は1日の衆院予算委員会で、民主党の09年衆院選マニフェスト(政権公約)の見直しに関連し、12年度以降の子ども手当について「さらに広げるか、もうこの程度しか無理なのかも含めて検証の対象にする」と述べ、月額2万6000円の満額支給を断念する可能性を示唆した。ガソリン税の暫定税率廃止に関しても「事実上進んでいない。やるのかやらないのか判断する」と慎重な姿勢を示した。
政府が国会に提出した11年度の子ども手当法案には、中学卒業までの子どもが1人当たり月額1万3000円、3歳未満は月額2万円の支給が盛り込まれている。ただ、自民党などの野党は同法案に反発しており、成立が危ぶまれている。首相の発言には、修正をにおわすことで与野党協議に入りたい思惑があるとみられる。
マニフェストで掲げた16兆円の財源捻出について、首相は「一部は過大に見積もったところもある」と認めた。マニフェスト見直し作業については「9月ごろを一つのめどに検証したい」と強調したうえで「社会保障の議論の中で、場合によっては一部前倒し的な議論が必要になるかもしれない」と述べ、見直しの一部前倒しにも言及した。
政府は4月に社会保障制度の改革案をまとめた上で、6月までに税と社会保障の一体改革案を策定する方針で、見直しの前倒しにより野党の協議参加を呼び掛ける意向とみられる。
だが、自民党の石破茂政調会長は「民主党案を出すのが責任政党だ」と政府案の作成段階での与野党協議への参加を拒否。自民党はマニフェストを修正するなら衆院を解散するよう求めており、与野党協議は事実上困難な情勢だ。
消費税率引き上げでは、野田毅氏が「自民党は(10年参院選で)消費税10%を掲げてルビコン川を越えた。首相は川の手前で右往左往している」と批判。首相は「大変な勇気のある決断だ」と持ち上げ、「ルビコンを渡られたことも参考にして議論しようと言っている」と述べ、与野党協議への参加を求めた。【大場伸也】