2011年2月1日 11時54分
昨年10月の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)で採択された名古屋議定書について、松本龍環境相は1日の閣議後会見で、日本政府は2日の署名開始日に間に合わないことを明らかにした。議長国・日本は議定書を実行するための国内法整備を検討しているが、見通しは立っていない。
名古屋議定書は、「遺伝資源」と呼ばれる微生物や動植物を利用して医薬品などを開発した場合、その利益の一部を資源提供国に還元する枠組みを定めている。条約事務局などによると、南米などの複数の国が署名の意向を示している。
日本政府が署名する場合、議定書が定めた義務を国内法で担保する見通しをつけ閣議決定することが前提になる。また、批准には国会の承認を必要とする。
関係省庁は、遺伝資源の不正利用を防ぐために設置が義務付けられた監視機関などについて検討しているが、運用のあり方について意見が分かれている。政府は、今月中に関係省庁の局長級でつくる連絡会議を設置。松本環境相は「関係省庁と連携して準備している。早期の署名を目指したい」と述べた。
署名が始まる2日に国連本部(ニューヨーク)では式典が開催され、日本政府も職員を派遣する。署名は1年間受け付けている。【足立旬子】