エジプトのスレイマン副大統領は、日本時間の午前1時すぎ、国営テレビを通じて声明を発表し、ムバラク大統領が辞任したことを明らかにしました。30年近くに及んだムバラク政権は、市民が連日行った大規模な反政府デモによって退陣に追い込まれました。
現地時間の午後6時すぎ(日本時間の午前1時すぎ)、スレイマン副大統領が国営テレビで声明を発表し、「国内の厳しい状況を受け、ムバラク大統領は大統領職から退くことを決断した」と述べ、ムバラク大統領が辞任したことを明らかにしました。そのうえで「大統領の権限は、軍の最高評議会に委譲された」と述べ、大統領権限が国防相と軍のトップからなる軍の最高機関に委譲されたことを明らかにしました。関係者によりますと、辞任したムバラク大統領は、11日、家族とともに、首都カイロを離れ、シナイ半島南部の紅海に面した保養地、シャルムエルシェイクに移ったということです。エジプトでは、先月25日から、過去最大規模の反政府デモが繰り返され、ムバラク大統領は、長年、空席だった副大統領に、情報機関の長官だったスレイマン氏を充てるとともに、新しい内閣を発足させ、事態の沈静化をはかりました。また、今月1日には、この秋に予定されている次の大統領選挙には立候補せず、退陣すると表明したほか、10日には、大統領の権限をスレイマン副大統領に委譲したことを明らかにしていました。しかし、市民の不満は収まらず、あくまでも大統領の即時辞任を求めて、11日もイスラム教の金曜日の集団礼拝のあとに、カイロ中心部の広場や議会、大統領宮殿、それに国営テレビの建物の前で大規模なデモを行っていました。先月、チュニジアで、市民による反政府デモを受けてベンアリ前政権が崩壊しましたが、民主化を求める市民の運動は、中東の大国エジプトにも大きな変革をもたらしました。