2011年2月1日 11時20分 更新:2月1日 21時57分
宮崎、鹿児島県境の霧島山系・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)で1日午前7時54分、2日ぶりに爆発的噴火が起きた。噴煙は火口から約2000メートルまで上がった。噴火による空気の振動「空振」で鹿児島県霧島市内の4小中学校や病院、旅館で窓ガラスが割れる被害が相次ぎ、同市牧園町の病院では入院患者の女性(92)が顔を切る軽傷を負った。気象庁は半径3キロとしていた入山規制を同4キロに広げた。新燃岳の噴火活動が活発化した1月26日以降、爆発的噴火は4回目。
気象庁は火口の南西約3.2キロの国有林内の2カ所で、噴石による穴を確認。1カ所は、直径約6メートル、深さ約2.5メートルの穴に、縦約70センチ、横約50センチの噴石がめり込んでいた。もう1カ所では、直径約7メートル、深さ約3.2メートルの穴と共に、砕けた噴石があった。噴石は手で持てないほど熱を帯びていた。
噴火警戒レベルは「3(入山規制)」のまま。気象庁は今後も同規模の爆発的噴火があった場合、おおむね半径4キロの範囲で大きな噴石に注意が必要としている。また、従来通り半径3キロで火砕流への警戒を呼びかけている。火口から4キロ圏内には▽宮崎県小林市▽都城市▽えびの市▽高原町▽鹿児島県霧島市が含まれる。気象庁によると人家はないという。霧島市では一時6世帯10人が自主避難し、午後7時現在も3世帯4人が避難している。
鹿児島地方気象台は火口部の溶岩ドーム(直径約500メートル超、高さ約100~150メートル)の頂上部の一部が吹き飛んでいたことを確認した。また、火口の南西方向数カ所で噴石による火災が発生したが、鎮火した。火砕流の発生は確認されていない。
同気象台によると、新燃岳から南西約3キロにある霧島市湯之野の空振計では458パスカルを観測。1月26日以降の最大値は同28日の81.8パスカルで、今回はその5.6倍になる。
同気象台の上之薗正利防災調整官は「溶岩ドームでふたをされて火山性ガスが蓄積したため圧力が高まり、かなり強い空振を伴う爆発的噴火となった。今後、更にマグマが供給されると、再びドームが吹き飛ばされて強い空振が起きる恐れがある」と注意を呼び掛けている。【福岡静哉、川島紘一】