2011年1月9日 21時8分 更新:1月9日 21時51分
【北京・成沢健一】ゲーツ米国防長官は9日夜、日中韓歴訪の最初の訪問国となる中国に到着した。AP通信などによると、北京に向かう専用機内でゲーツ長官は同行記者団と会見し、中国がレーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機や空母を破壊する能力を持つ対艦弾道ミサイルの開発を急いでいることに警戒感を示した。
会見でゲーツ長官は「就任以来、中国による対艦弾道ミサイル開発を懸念してきた。運用能力を有しているかは不明だが、開発はかなり進展している」と述べた。中国四川省成都で滑走試験を行ったと伝えられるステルス戦闘機「殲20」についてゲーツ長官は「米情報機関の予測よりも早く開発が進んでいるかもしれない」との見方を示した。
その上でゲーツ長官は「(中国の兵器開発は)我々に対して潜在的な危険を及ぼす可能性がある。注意を払い、適切に対処しなければならない」と指摘し、長距離爆撃機などの開発に力を入れる考えを示した。一方で、対話を通じて中国側の戦略意図を明らかにし、不測の事態を避ける必要性を強調した。
また、朝鮮半島情勢に関連し、ゲーツ長官は「中国は昨年後半、緊張緩和のために建設的な役割を果たした」と評価した。
中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は6日の定例会見で「中国は一貫して対米軍事関係を重視しており、(ゲーツ長官の)訪問が両軍の相互理解と信頼の増進につながることを望む」との期待感を示している。
ゲーツ長官の訪中は、ブッシュ政権下の07年11月以来。当初は昨年6月に予定されていたが、米国による台湾への武器売却に中国が反発し、延期されていた。12日まで滞在し、梁光烈国防相や胡錦濤国家主席らと会談するほか、核戦略を担う第2砲兵(戦略ミサイル部隊)司令部を視察する。長官は中国の後、12日に日本を訪問、14日には韓国を訪れる。