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[25927] (ネギま)隻眼竜の麻帆良日記(オリ主、最強っぽいかも)
Name: 瀬川霧雨◆f3f1ef06 ID:276d253c
Date: 2011/02/10 14:11
初めまして、瀬川霧雨という者です。

暇潰してがらに書いてみたこの物語ですが、文章量が少ないせいで短く感じられると思います。

ヘタの横好きで書き始めたこの物語。

少しでも楽しんで頂けるなら幸いです。

ちなみに、オリ主はほぼ最強。ですがあまり戦いません。

戦闘描写も少なく、読む人にとってはつまらないかも知れません。

基本的に彼女(オリ主)の一人称のために、絶対的な文章量が短いです。

では、よろしければ一時の暇潰しにでもどうぞ。

誤字脱字の報告や、感想をいただけると嬉しいです。



[25927] #0
Name: 瀬川霧雨◆f3f1ef06 ID:276d253c
Date: 2011/02/10 14:03
 ――突然だが、吸血鬼だけではなく、他にも真祖と呼ばれる存在が居るのを知っているだろうか。

 「隠れし城塞」「赤炎の黒竜」「黒き翼の竜」他にも色々な二つ名のつくドラゴン。

 真祖と呼ばれる吸血鬼と同じく、強大な力を持つ竜。これはそんな彼女の物語だ。


 隻眼竜の麻帆良日記 #0

   はじまりはここから。



 彼女からの連絡を受けたのはつい先日の事だった。

 『今度麻帆良に行く』と、簡潔な手紙を持ってきた彼女の使い魔。

 まさか、その時までは真なる竜の姿を人生で2度も見る事になるなんて思っても居なかった。

 『竜害』と呼ばれるそんな出来事を目にするのは、一生どころか二度や三度生きてきても巡り合わないと言われている。

 それが幸運なのか不幸なのかは人によるだろう。

 ――僕はどうだって?

 そうだね、どうとも言いにくいよ。

 by 高畑=T=タカミチ。



 ――上空からこの麻帆良という土地を見下ろす。

 世界樹と呼ばれる大木を有する、世界有数の霊地。

 西洋風の静かな町並み、と同時に巨大な学園都市でもある。

 私がなぜここを選んだかといえば、たまたまと答えるだろう。

 とはいえ、知人がここに居るからというのも捨てがたい。

 ともかく、私はこの都市へしばらく滞在する事にしていた。

 人間の単位にすれば数千年、これだけ長く生きてくればさすがに暇を持て余してしまうからだ。

 目当ての人物を見つけた私は、こっそりとその背後へ回り込んだ。

 「久しぶりだね、タカミチ」

 彼が背を預けていた樹の後ろ側から声をかける。

 さすがに驚いたのだろう、慌ててこちらに振り返るタカミチ。

 「――あまり驚かせないでくれ……と君に言っても無駄だね」

 こういった悪戯が大好きな私の事をよく理解している。

 「さすがの長旅だと、君も疲れただろう。車を用意しておいたから、学園長の所へ行こうか」

 丸4日。

 人間には長く感じるだろうが、私は別にそれで疲れを感じる事は無かった。

 伊達に真祖の竜と呼ばれては居ない。

 私は、彼に促されて歩きながらながらそう思っていた。

 「どれくらい滞在するつもりだい?

  君の事だから数年は居る事になるんだろうと思うんだけど」

 彼の言葉に少し考える。

 特に興味を引く事が無ければ、その言葉の通り数年どころか十年単位で居座る事になるだろう。

 そう彼に伝えると、苦笑いが帰ってくるだけだった。



 彼の車は大型のスポーツカーで、そのエンジンは低い唸りを上げながら道を走る。

 流れていく町並みの明かりを眺めながら、私は言った。

 「随分と老けたね、もっと若いと思ってたんだけど」

 「そう……だね、ちょっと訳ありでね」

 深く聞こうとは思わない。

 知識に対する欲求の激しい私としては珍しい事だった。

 その間も車は走り続ける。

 やがて、とある門の前で車は止まった。

 「ここからは歩きになるんだ、すまないね」

 気にしなくてもいいと彼に伝え、下車する。

 再び彼の後を歩く、真っ白な彼の後頭部を見ながら。

 特に会話は無い、というよりも会話するのならどっしりと腰を据えるつもりなのは彼も同じなのだろう。

 建物に入り、再びしばらくの歩き。

 この建物は学校なのだろう、そう思わせる物が道中にいくつもあった。

 思わず、ここの責任者は数寄物なのだろうか、などと思ってしまった。

 学園長室、そうプレートに書かれた部屋の前で立ち止まる。

 彼が扉を開け、その中へ。私もそれに続く。

 中に居たのは、どこか人間なのを捨てたような姿の老人だった。



 何と評すればいいのだろうか、その特徴的な後頭部に思わず目を奪われる。

 「学園長、ここに居るのが彼女――件の少女、ドラゴンです」

 「ふむ……まずはようこそ麻帆良へ、わしがここの責任者をしておる近衛近右衛門じゃ」

 あまり歓迎されては居ない雰囲気。

 まあ、当然といえば当然の事だ。

 「最初に、こんな時間の訪問を詫びておきます。

  私が……人間からは『隠れし城塞』や『黒き翼の竜』と呼ばれているものです。

  この姿の時には「黒翼のアリセリア」などとも呼ばれています。

  しばらくこの街に滞在しようと思うのですが、どうでしょうか?」

 一応丁寧な言葉遣いを心がける、第一印象という物は大切だ。

 部屋の中には私達三人のみ、誰かが潜んでいるような気配は無い。

 タカミチのおかげだろうか、そうだとすれば感謝しなければ。

 「時間に関しては特に気にする事でなし、よいじゃろ。

  しかし……気まぐれとは聞いていたが、本物が来るとはのう……」

 髭を撫でつつ学園長が言う。

 確かに人間から見ればそうかもしれない、同じ場所に数年留まっている事もあればすぐに別の場所へ向かう事もある。

 いや、人間以外からでもそうかもしれないが、今はその事を考えている場合ではない。

 「別に今から『戦争』を始めようという訳では無いですから、その点については安心してください。

  むしろ、しばらくは『こちら側』から離れていようかと思っているところです」

 私の言葉にふむ……と黙り込まれる。

 とはいえ、思ったよりもフレンドリーな対応なのは嬉しい事だ。

 場所によっては断固反対や、熱烈拒否される事も珍しくは無い。

 「住む場所は……タカミチ君の所でいいじゃろ。

  それと学校へ行ってもらう事になるが、構わんかの?」

 うん、近年まれに見る程あっさりと決まってしまった。

 タカミチは、学園長と私を交互に見やっている。

 まあ、突拍子の無い話なのは確かだ。

 タカミチは抗議したものの、女子寮に空き部屋が無い事や何やらで丸め込まれてしまった。

 とりあえず、住む場所とやる事ができた。これで当分の時間は潰せそうだ。

 その流れで私が編入する事になったのが、タカミチが担任をしているという女子中2-A。

 どうやらタカミチに全て押し付けてしまおうという魂胆だろうか。

 「これからよろしくね、タカミチ」

 「あ、ああ……」

 さすがに部屋の用意まではすぐに出来るという事は無く、今日はホテルの一室を借りる事となった。

 「またしばらくよろしくね、タカミチ」

 帰りの車の中は、どこか暖かく感じた。


 From 学園長

 タカミチ君からの知らせを聞いた時には思わず椅子から崩れ落ちそうになってしまった。

 『移り気』と呼ばれる真祖の竜がここに滞在すると言い出したという。

 ぶっちゃけ、こちらに拒否権のようなものは無い、拒否すればここら一面を焼け野原にする事くらいは彼らにとって普通の事だからだ。

 彼らの能力は……そう、核兵器のようなものが近い。

 魔法界最大の抑止力であり、頭痛の種なのだ。

 うまくこちら側へ引き込めれば非常に助かるのだが、どうなる事じゃろうか。


 件の彼女が来る日、珍しく緊張してしまう。

 まあ、相手が相手じゃし、仕方がないじゃろう。

 『赤き翼』の黒翼と言えば、こちら側の人間で知らぬ物が居るかも怪しいほど知名度の高い竜だ。

 それも普通のドラゴンでは無く真祖、数千年を生きると言う。

 どうやら彼女が着いたようだ、ノックの後にタカミチ君が入ってくる。

 それに続き、彼女が姿を現せた。

 その姿にはこれといった特徴は無い。

 黒い髪、西洋人を思わせる白い肌、どれも普通の範疇を超える事は無い。

 印象に残るのはその赤い瞳、右の瞳はとても暗い色をしている。

 オッドアイという事では無い、彼女は隻眼の竜だからだ。

 おそらく、その暗い方の瞳を失っているんだろう。

 「学園長、ここに居るのが彼女――件の少女、ドラゴンです」

 「ふむ……まずはようこそ麻帆良へ、わしがここの責任者をしておる近衛近右衛門じゃ」

 極力フレンドリーに対応するべく、名乗りを上げる。

 「最初に、こんな時間の訪問を詫びておきます。

  私が……人間からは『隠れし城塞』や『黒き翼の竜』と呼ばれているものです。

  この姿の時には「黒翼のアリセリア」などとも呼ばれています。

  しばらくこの街に滞在しようと思うのですが、どうでしょうか?」

 わしの考えが伝わっているのか、彼女の言葉遣いも丁寧だ。

 「時間に関しては特に気にする事でなし、よいじゃろ。

  しかし……気まぐれとは聞いていたが、本物が来るとはのう……」

 思わず本音が出てしまった、気分を害さなければいいのじゃが……。

 「別に今から『戦争』を始めようという訳では無いですから、その点については安心してください。

  むしろ、しばらくは『こちら側』から離れていようかと思っているところです」

 ふむ、そう来るとは思わなんだ。

 思わず髭に手をやってしまう。

 まあ、その内流れで何とかなるじゃろう。

 「住む場所は……タカミチ君の所でいいじゃろ。

  それと学校へ行ってもらう事になるが、構わんかの?」

 彼には苦労をかける事になるじゃろうが、現状ではそれがベターな選択肢だと判断する。

 それに、さすがに何もせずという訳にもいかんし、2-Aにでも放り込んでおけばよいじゃろう。

 「学園長……」

 「困った事に女子寮には空きが無いんじゃよ」

 「とはいえ何か別の方法が……エヴァのようにするなど……」

 「あまり特別扱いはしたくないのじゃよ、彼女もそれをお望みのようじゃしの」

 この後にもタカミチ君の抗議は続いたが、腹芸ではさすがにわしに一日の長がある。

 とりあえず今日はホテルに泊まってもらう事にして、明日にでも……といってももう日付が変わっているが、部屋の用意もできるじゃろう。

 部屋へと向かう二人を見送る。

 さて、わしももう一働きせんといかん。

 彼女に必要な書類を揃えるべく、関係各所へと指示を出した。



[25927] #1
Name: 瀬川霧雨◆f3f1ef06 ID:276d253c
Date: 2011/02/10 14:04
 あらゆる現象には、原因があって始めて結果になる。

 今回の事件は、ただ彼女がタカミチと浅からぬ縁があったからだとという事。

 移り気と呼ばれる彼女はそう、実際に移り気なのである。



 隻眼竜の麻帆良日記 #1

   まずは買い出し。


 装備品とは大事なものだ。

 今の場合は服装なのだが、少し場から浮いているせいで注目を集めてしまっている。

 まあ、確かにこの場所に中世から来たようなローブ姿の人間が居れば仕方がないだろう。

 そうはいっても、奇異の目でという物ではなく、珍しい格好という程度なのは、この学園にある認識阻害の魔法のせいだろうか。

 今日は引越しと買出しの両方が目的だ。

 引越しの荷物はまだ紐解いていないものの、部屋には運び込まれている。

 そこの速さはさすがの学園長という所だろうか。

 午前中の残りの時間を利用して、こうやって商店街へと買い物に来ている。

 荷物持ちとして、買い物に付いてきているタカミチの両手にはすでに紙袋が沢山。

 全てが私の服だ。

 「この辺りで今日は切り上げないかい?」

 「まだ買う物は沢山あるよ?」

 私の言葉に、少しげんなりとした様子のタカミチ。

 「でも、さすがに持ちきれなくなりそうだから、また今度にしようか」

 「ああ、その方が僕も助かるよ」

 次はいつになるだろうか、ゴスロリからカジュアルな物まで、買いたい服はまだ沢山残っている。



 「新居って言うと、新婚みたいだね」

 家に戻って服を収納に入れ始めた私の言葉に固まるタカミチ。うん、少し意地悪な発言だったろうか。

 「いや、まあ、確かにそうだけど……」

 ほんのりとその頬に赤みが帯びる。

 この場に他の人間が居れば、真っ赤になっていたに違いない。

 それをクスクスと笑いながら、買ってきた洋服をクローゼットへとしまう。

 流石にいたたまれなかったのだろうか、それとも私が下着を手にし始めたからか、タカミチはリビングへと戻っていった。



 そして午後、今度は私一人で買い物へ向かった。

 目指すは今日の夕食の材料だ。

 今日の夕食――この国ではソバという物を引越しした際に食べるらしい――を求め、近くのスーパーマーケットへと歩を進める。

 時間帯が悪いのか、店内は人の山。

 どうにかその中をかいくぐり、渡されたカードで会計をすませる。

 ちなみに、一人なのはタカミチが学園長の下へ出来上がった書類を受け取りに行っているからだ。

 私はタカミチの遠縁の親戚という事になり、名前もアリセリア=H=高畑となることになった。

 学校へ行くというのもいい暇潰しだ、丁度いいだろう。

 そうのんびりしていようとした考えが翌日に吹き飛ばされてしまうなんて、その時の私は思いも付かなかった。


 待ち合わせた世界樹の下でタカミチを待つ。

 私が入る所と同じくらいの年齢だろう少年や少女、老若男女が居て世界樹のある広場は活気に溢れている。

 「待たせてしまったね、ごめん」

 「気にしてないよ、ほんの少しだから」

 タカミチと合流して家へと戻る。

 夕暮れ時の西日に目を細めながら歩く道は、春の陽気のおかげか暖かかった。


 from タカミチ

 「これで一式ですね、確かに受け取りました」

 書類の束を紙袋の中へ入れ、僕は言った。

 アリセリア=H=高畑。

 僕の遠縁の親戚という事になった事を知ったのはつい今さっきだ。

 別に嫌などという事は無いのだが、学園長に一杯食わされた感が否めない。

 まあ、昨日の時点で僕と一緒に暮らすという事が決まってしまったのだから、これが自然な流れだろう。

 「また苦労をかけてしまってすまんのう。

  他に適任者がおればよかったのじゃが、一番の適任者が君なのじゃよ」

 「『竜害』ですから、隕石でも落ちてきたと思って諦めていますよ。

  彼女自体は善良な性格ですしね」

 とはいえ彼女の好奇心は凄い、この麻帆良でどんな化学反応を起こすかはわからない。

 「何事も無ければ一番じゃがのう」

 「そうですね」

 ここでは僕と学園長との考えは同じだった。

 まあ、万人がそう思うだろう。

 「それじゃあ、彼女を待たせると怖いので僕はここで」

 「うむ、頼んだぞい」

 そう言って部屋を出る。

 実際に待たせて怖かった事は無かった――2日の遅刻をした事があった――ので、そこまで急いでという事は無い。

 待ち合わせの世界樹の下、スーパーの買い物袋を下げた彼女を見つけると、それに歩み寄る。

 「待たせてしまったね、ごめん」

 「気にしてないよ、ほんの少しだから」

 確かに彼女のような存在には大した時間では無かった思えるのだろうが、一時間近く遅れて文句一つ無いというのが、地味に嬉しかったと同時に、安心した。


 僕の住む部屋は、単身者用の1DKではなく、家族用の3LDKに変わった。

 引越しの荷物こそまだ紐解いていないが、そこは間違いなく立派なマンションで、僕達の新居だった。

 「タカミチ」

 「何だい?」

 「余ってる部屋、書庫にしてもいい?」

 僕と彼女で一部屋づつ振り分けても余る一部屋、それは問題ないだろう。

 「そういえば、図書館島の事は知っているかい?」

 「図書館島?」

 図書館と聞いて、彼女の瞳が輝く。

 本の虫である彼女には、いい場所になるだろう。

 「島一つを図書館にしていてね、本来はちゃんとした許可が必要なんだけど、

  君なら最下層までの許可が出ると思うよ」

 「それは楽しみね、どれくらいの本があるのか考えただけでもワクワクしちゃう」

 興味を持った本を制覇すると言う彼女に、

 彼女にとっての時間の概念はどこか僕達とズレている事に間違いは無いようだ。



 「タカミチ」

 「どうしたんだい?」

 引越しの荷物を紐解いていると、彼女の呼ぶ声が聞こえ、僕はキッチンへ向かった。

 そこには可愛らしいエプロンをした彼女と、乾麺の蕎麦が置いてあった。

 「引越しでソバを食べるって聞いたから作ろうと思ったんだけど、肝心のソバの作り方を知らなかったの」

 「なるほど。何、ここに『5分程お湯で茹でてからお召し上がり下さい』ってあるだろう、

  ざる蕎麦にするならそれだけで湯を切れば大丈夫だよ」

 新妻さながら、とでも言えばいいのだろうか。

 手際は悪くない、真新しい寸胴鍋に水を張り、火にかける。

 彼女の料理の腕前は問題ない、むしろヘタなレストランに行くよりも美味しい。

 とはいっても、トカゲやドラゴンまでもを美味しく料理する技術は、僕には理解できなかった。

 そうしてキッチンに立つ彼女の姿はどうしてだろうか、いつもより可愛らしく見えた。



 「そういえば、まだ制服を着てなかったね」

 「ん?……ああ、確かにそうだけど明日着る事になるんだし、急ぐ事もないだろう?」

 それもそうか、と納得顔の彼女。

 夕飯のざる蕎麦を食べながらの何気ない会話。

 「定番イベントだと思ったんだけどなぁ」という呟きは全力で聞き逃した。

 彼女は、そういう本も読むようだ。


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