2010年12月13日 10時29分 更新:12月13日 10時54分
【ソウル西脇真一】菅直人首相が、朝鮮半島有事の際の邦人救出に向け自衛隊派遣を想定した協議を韓国側と行いたいとの考えを示したことについて、韓国では13日付の朝鮮日報が「不適切な発言だ」とする社説を掲載するなど、警戒感や戸惑いが広がっている。
社説は、米軍のマレン統合参謀本部議長が先週、ソウルや東京で行った記者会見で、北朝鮮に対する圧力の一環として日米韓3カ国合同の軍事演習の必要性を強調したことに触れ「韓日の過去の問題はもちろん、日本が独島(日本名・竹島)領有権を主張する状態で、自衛隊が朝鮮半島の周辺に出没する状況を受け入れるのは難しい」と反発。
さらに「(こうした一連の動きを)中国は敵対的な動きと見なしている」と指摘し、韓国としては「何倍も慎重で敏感に受け止めるしかない問題で、菅首相の発言は誤解を招く不適切な発言だ」としている。
一方、聯合ニュースは12日、菅首相発言に対する韓国政府側の反応を「ひとことで言えば『突拍子もない』というものだ」と伝えた。政府当局者は「韓国政府には事前に何の相談もなかった。敏感な安全保障の懸案に対し、日本の首相が突然切り出したのは、おかしい」と語った。
また、青瓦台(大統領府)高官は「現実性のある話ではない」とし「おそらくそれほど深く考えて述べた話ではないのだろう」との見方を示したという。